白石和彌監督『碁盤斬り』は是非見るべき!ー新しい時代劇を創り出そうという気概に👏…いろいろ勝手な感想でスミマセン

今日は「早く観なければ!」と気になっていた作品を映画館で見てきた。以前もこのHPでお知らせした白石和彌監督と編集の加藤ひとみさんのタッグによる映画なので「期待大」だったからだ。
ワクワクしながら、家近の桜木町・横浜ブルク13に向かった。映画が始まってまずは、最初のクレジットに「木下工務店」の社長・木下直哉氏の名前が「製作総指揮」としてクレジットされた。木下社長は映画プロデューサーでもあり、数々の名作を世に送り出している。
今回私が視聴した映画は、『碁盤斬り』。囲碁がテーマと聞いて、どうこの〝静的〟な世界を映像化するのかととても興味があった

まず映画館での所感。草彅氏もこういう役をやるようになったかと感無量だった。清原氏が娘には思えず、当時によくあったであろう年の離れた女房に見えてしまった。それほど、私のなかではまだいまだに草彅さんは若々しいイメージなのだ。
そして作品の感想だが、さすが白石監督、緩急の付け所や見せ所は見事で、130分と聞くと「長いな」と最初は思ったのだが、あっという間だった。また、昔の時代劇によくある余分な「間尺」をなるべく〝意図的に〟あえてカットしたであろう(と私が勝手に推測した)加藤氏の編集が小気味でよかった。ただ座って向き合っているだけの対局の繰り返しをどうやって見せていくかという最大のテーマは演出にとっても編集にとっても難しかったと思うが、さすが「白石×加藤」のコンビならではの「飽きさせずに」見せる工夫が随所に見られて素晴らしかった。
そして何といっても、「美しかった」。対局のシーンの映像美はうならせられる。

しかし、誉めてばかりだと批評にならない。難を言えば、脚本。疑問が2点ある。1つはどうしても主人公を格好よく見せよう、いいように見せようという時代劇定番の「善⇔悪」の対立軸に古さを感じさせられた。これは脚本によるものだと指摘したい。もっと主人公は人間臭くても良かったのかと思う。そしてもうひとつ、一つ目の指摘の反面、「?」と思うところもあったことだ。例えば、50両の金銭を盗んだ疑惑をかけられた主人公が急に激高するところは、それまでの主人公の感情の流れからすると大きな違和感を抱いた。ほかにも急に「大きな声をあげる」「怒り出す」など、どう考えても主人公の性格的にはおかしいと思えるシーンがあり、どういう意図があったのかが読み解けなかった。あれほどまで緻密で慎重な、かつ相手のこころを読む碁を打つ人と同一人物とは思えなかったからだ。もしそれは「意図」だとすれば、しっかりと終盤で解消してほしかった。私は、もう少し相手の出方を待つ慎重なセリフ回しの方がよかったのかなと思う。

しかし、総じて「素晴らしい作品」であることに違いはない。白石監督の「新しい時代劇を創ろう」という気概が溢れる作品で、久しぶりに大画面で時代劇を観た私は大興奮かつ「明日からも頑張ろう!」と思って劇場をあとにすることができた。いい機会をもらえた。
人間の機微を緻密に描いたこの作品、ぜひ劇場でご覧いただきたいものだ。タイトルの『碁盤斬り』の意味も映画で確認してほしい

映画『碁盤斬り』公式サイトより
https://gobangiri-movie.com/

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