謎のウィルスに侵された2012年

今日の「昨日のタブチ、今日のタブチ」は、日本でのエボラウィルス動物実験開始のニュースだった。そこでも記したように、ウィルスに関して私には苦い経験がある。

2012年のことだ。南米のペルー・ボリビアのロケから帰国した私は、謎の奇病に襲われた。発熱とともに立っていられないほどの筋肉痛と焦燥感・嫌悪感に襲われるというものだった。確実に神経系をやられていた。急遽、東京済生会病院に入院したところ、東京検疫所の係員が飛ぶようにやってきた。そしていろいろ詳細を聞かれた。
3~4週間ほどの短いロケだったのだが、係員が「現地で何か変わったものを口にしましたか?」という問いに対して思い当たることがあった。それは、ペルーの家庭に撮影でお邪魔したときに歓迎の意味で出された料理だった。


ペルーの家の中では「クイ」と呼ばれるテンジクネズミの仲間のモルモットが飼われていて、祝祭日やお祝いなど特別なときにだけ食される。いわゆる高級食材であり、私たち取材班をもてなして出されたのだ。生きていた姿のままの丸焼きで、内臓を取り除いで代わりに香草を詰め込む。見た目はグロテスクだが、結構いける。
その取材のおりも、このクイが出てきた。このときは旅人としてレポーター役に俳優の相武紗季さんが同行していた。家人に出されたクイを見て一瞬「ぎょっ」とした相武さんは、私の方を伺うように見た。私は「大丈夫」と言わんばかりに、「がぶり」とクイにかぶりついた。うっ……生焼けだった。しかし、皆が私の一挙一動に注目している。吐き出すわけにいかなかった。思い切って「ゴクリ」と飲み込んで、私は「リコ(美味しい)」!」と叫んだ。その瞬間の家族のお母さんの安堵した顔が印象的だった。念のために相武さんには十分に焼いたクイを食べてもらったが、私はクイの生肉を身体に取り込んでしまった。

そんな話をしたら、検疫所の係員はぼそりと言った。「間違いなくそれですね……」
いまは忘れてしまったが、係員が述べた病名は聞いたことがないカタカナだけのウィルスだった。だが、食べ物からしか感染しないということが私を少し安心させた。聞けば、日本での発症例はまだ2,3件だ(当時)という。
「珍しいものに当たったなぁ……」
当時の私は働きバチやマグロのようなもので、止まっている時間がもったいないといわんばかりに活動していた。だから、その後約1か月間の入院は苦痛でしかなかった。毎日、検査、検査であとは点滴をしているか寝ているか。そんな苦い経験を今日のエボラのニュースを聞いて思い出したのだった。

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