【「今日のタブチ」の新・テレビ論】自衛隊関連のバラエティ番組が増えることへの危惧

最近、自衛隊を取り上げるバラエティ番組がテレビで目立ってきた。戦闘機にタレントを乗せたり、ミサイルを打つ訓練をやらせてみたりとあまりにも目に余るものがあるので、ここで「今日のタブチ」は苦言を呈したい。

自衛隊内のセクハラ事件や訓練中の上官殺傷事件など不祥事が絶えない自衛隊。その汚名を払拭して〝明るい〟〝オープンな〟自衛隊を演出したいのか。その一方でテレビ局側にも視聴率が見込めるというメリットがある。例えば、10月14日に放送されたテレビ朝日系バラエティ番組『サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん』は個人視聴率5.7%、世帯視聴率9.2%と民放横並び1位となる高視聴率を記録した。(※視聴率は19:00~20:00、関東地区 ビデオリサーチ調べ)
その内容は、「巨大船博士ちゃん」こと中村一朗太くん(12歳)が幼いころからの憧れだった「砕氷艦しらせ」に初潜入。非公開エリアに足を踏み入れたり、映画『沈黙の艦隊』主演・大沢たかおとともに潜水艦の“禁断エリア”への潜入も果たすというものだった。

こういったテレビ局側と取材対象側両者のウィンウィンという「危うい蜜月関係」に関しては、1月10日発売予定のポプラ新書の拙書内でも詳しく解説、分析しているが、歪んだメディア・コントロールや忖度の根源になりかねない。

また、いま世界に目を向けるとガザやウクライナでは多くの血を流している子どもたちがいる。「笑い」や「楽しさ」を与えるはずのエンタメであるバラエティがそういった配慮をしないで、何のための放送文化なのか。

この現状を観て「なさけない」と思うのは、私だけではないはずだ。

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