【今日のタブチ】「ベネズエラ大統領拘束」と「ARどうぶつえん」――未来を紡ぐのはどちらなのか?
今日の新聞の一面を見て、唖然とした方も多かっただろう。多くの報道が、トランプ氏が自身のSNSで『ベネズエラに大規模攻撃を仕掛け、マドゥロ大統領夫妻を拘束した』と発信した内容を取り上げていた。しかし、この情報は現時点で公式確認がなく、不確定なままだ。もしこれが真実ならば、国際法を踏みにじり、国際秩序を根底から崩す事態であり、トランプ氏の愚行には言葉も出ない。
しかし、ここで疑問視するのは新聞報道の在り方だ。『米、ベネズエラ大統領拘束』『米軍、カラカス攻撃』『トランプ「マドゥロを捕獲」』など、各紙のヘッドラインだけを一見すれば、読者は事実として受け止めてしまう可能性がある。
だが、仮に国際的な麻薬密売をおこなう犯罪組織「太陽のカルテル」にマドゥロ大統領が関与していたとしても、拘束し国外連行していいというわけではない。ましてや、ベネズエラの首都カラカスを攻撃し、市民に危害を加えていいわけがない。自分は何様のつもりか、このように勘違いした権力者が、自分の思い通りにできるようになってしまえば、国際社会の秩序は保たれなくなってしまう。この件は、大変憂慮するが、あまりにも“論外”過ぎて、論点にもならない。
こうした混乱のニュースが続く中でも、未来を紡ぐ取り組みがある。今日はその話をしたい。「なんでこんなときに」と思うかもしれないが、「こんなときだからこそ」だ。
皆さんは「ARどうぶつえん」というコンテンツをご存じだろうか。学校や病院などの指定された空間で利用できる仕組みだが、AR(拡張現実)の技術を使って、スマホやタブレット端末で目の前にリアルな動物を再現することができる。
この「ARどうぶつえん」の素晴らしい点は、動物園でしか見られない生きものを身近に観察できることだ。障害や病気のため動物園に行くことができない小児医療機関にいる子どもたちに、体験してもらえる。実際におこなわれた催しでは、スマホの中に出てきたライオンやペンギンの姿に、子どもたちは目を輝かせていたという。「こんなに大きいんだ」と実感したという声もある。
新聞記事によると、アイデアを生み出したのは、AR技術を活用した教育コンテンツを手がける「STARIUM(スタリウム)」社の代表、今井清臣氏だ。先日、私が訪れたソニーPCL社でのデモンストレーションでは、スマホを通じてミャクミャクを呼び出すARデモが紹介されていた。PCLは、ARミャクミャク召喚グッズの企画・提供を手がけていて、万博関連のXR技術にも関与しているので、ARコンテンツ開発の最前線にいることがうかがえる。各社とも開発を進めたい分野なのだろう。
こうした技術は、子どもたちの“学習環境”の格差解消につながるし、何より「体験する」という価値が大きい。これからのAI時代には、子どもや若者たちに「体験させる」ことが大切な教育要素になる。子どもたちのために、各社はどんどんしのぎを削って技術を向上させてほしいものだ。
世界の地球の裏側で、罪のない子どもたちが暗闇の中を逃げ惑っている現実がある。その一方で、未来を照らす技術もある。無力感に囚われず、子どもたちに希望の種をまく責任を、私たちは忘れてはいけない。混迷の世界だからこそ、教育の現場に光を届ける試みが重要なのだ。
上:「テレ東プラス」公式HPより
下:「ロイター」公式HPより


