【今日のタブチ】「昔ばなし」の法則に「目から鱗」~「数字を使う」「極端に語る」などテレビ番組との類似点があるのはなぜか?
今朝の新聞では、小澤昔ばなし研究所所長で筑波大学名誉教授の小澤俊夫氏の「昔ばなし」の記事が興味深かった。
小澤氏によると、スイスの文芸学者、マックス・リュティがヨーロッパの昔ばなしを分析して理論化した法則が注目されていて、それは多くの日本の昔ばなしにも当てはまるという。
印象に残った項目を挙げてみる。
1.具体的に語らない
2.人と動物、植物が会話
3.極端に語る
4.原色を好む
5.3回の繰り返し
6.一人で行動する
7.「折り紙細工」のように語る
8.よく出てくる3,7,12・・・
1.の「具体的に語らない」は人物の場合には「美しい」などの表現ということでよくわかる。2.の「人と動物、植物が会話」も「浦島太郎と亀」や「お姫様と蛙」など思いつくものも多い。3.の「極端に語る」などはテレビ番組に似ているなぁと思った。最近はそういう傾向は薄れているが、ドラマなどは必要以上に強調されたものの方が視聴者に伝わりやすいとされてきた。8.の「よく出てくる3,7,12・・・」のように数字を使うというのもテレビの場合、視聴者にイメージさせやすいということでよく使われる手法だが、なかでも「3年寝太郎」「白雪姫と7人の小人」などのように、3、7、12が多いというのは気がつかなかった。5.の「3回繰り返し」は「二度あることは三度ある」ということわざが表すように、理解できる。
思えば、昔ばなしも情報を人々に伝える「メディア」のひとつなのだ。そう考えると、テレビ番組との類似点にも頷ける。
だが、4.の「原色を好む」は、「へー、そうなんだ。なるほど」と言われてみれば気がつく「目から鱗」の指摘でおもしろかった。昔ばなしは、特に文字の普及していない時代や、読み書きが限られた特定の人々にしかできなかった時代において、情報や教訓を伝える手段として機能していた。子どもたちに道徳や生活の知恵を教えるために語り継がれる話も多い。そういった人々や子どもに訴求するために、「白雪姫」の「雪のように白く、血のように赤く、黒檀のように黒い髪」という表現はわかりやすくイメージしやすかったのだろう。
最後までわからなかったのは、6.の「一人で行動する」というものだ。「桃太郎」は一人で出かけてゆき、犬、サル、キジも1匹ずつ。「鶴の恩返し」は一人暮らしの若者のところに鶴が一羽で現れると小澤氏は指摘する。これはなぜなのだろう・・・。
知っている方がいたら、教えてほしいものだ。
「Amazon」HPより