【今日のタブチ】「桜」の健康状態をAIが判定~とてもいい試みだが、はたして個人情報保護は大丈夫なのか?
キリンビールは2025年3月17日、スマートフォンのカメラで撮影した桜の画像から、桜の健康状態と樹齢をAI(人工知能)を使って判定するサービス「晴れ風ACTION 桜AIカメラ」を提供開始した。判定結果は全国の自治体のデータベースに保存し、自治体は専用ページからデータを閲覧できる。そして自治体の担当者や樹木医に共有され、桜の保全活動につなげるのだという。
サービスは誰でも利用できる。桜の花見客が専用のURLにアクセスし、スマホで桜の写真を撮影する。桜の写真からAIが桜の健康状態や樹齢を判定する。健康状態を約90%の精度で判定可能だという。これらのデータは位置情報と一緒にデータベース上へ集積される。
とてもいい試みだが、「個人のプライバシーや個人情報保護は大丈夫なのか」と感じた。新聞記事には、その点に関することは何一つとして書いていない・・・正直「ちょっと片手落ち?」と思った。
AIを活用する際の注意点は、以下の4つだ。
1.日本の「個人情報保護法」に適しているか:AIカメラが日本国内で提供されている場合、個人情報保護法(PIPA)に準拠しているかどうか。AIが顔認証などの生体情報に基づいていないかどうかをチェックするべきだ。桜を撮った際に個人が写り込む可能性があるからだ。位置情報もどのように処理されるのかにも気を配らなければならない。
2.どのような「プライバシーポリシー」に基づいているか:桜AIカメラが提供する公式プライバシーポリシーを読んで、どのような情報が収集され、どう利用されるのかを知っておく必要があるだろう。映像はデータに変換したあと、すぐに破棄されるかなど、適切な措置が取られるのであれば、プライバシー保護の観点から安心と言える。
3.「データ保存」はどのようなされるのか:収集されたデータがどのくらいの期間保存されるのか、また暗号化などのセキュリティ対策が講じられているかも重要な点だ。不正アクセス、改変、開示又は損失から保護されるよう取り組まれているかどうか。
4.「第三者提供」は安全におこなわれるのか:情報が第三者に共有される場合、その条件や相手先が明確化されているかどうか確認が必要だ。また、「必要最小限のデータ」のみを提供するように配慮されているかどうかも大事なチェックポイントだ。今回の場合は、あくまでも桜の情報だけ、場所やその状態、樹齢などが必要なだけだ。
桜の健康も守られ、それが環境にも役立つと聞けば、「それはいいことだ」とまずは思うだろうが、個人情報やプライバシーは自分自身で守らなかればならない。
これからは桜の花見のシーズン、酒に酔って盛り上がり、個人情報ダダ洩れ・・・というようなことは避けたいものだ。
「PR TIMES」HPより