【今日のタブチ】「軍事研究」27億円助成&備蓄米放出による倉庫会社の「死活問題」~物事の裏側に隠されている「共通する背景」とは何か?

今朝の新聞には、「軍事研究」27億円助成備蓄米放出によって倉庫会社が「死活問題」に直面しているという2つの記事があった。このまったく関係ないように見える物事の裏に隠されている「共通する背景」を見逃してはならない。
「軍事研究」27億円助成は、防衛省の「安全保障技術研究推進制度」によって、2015年度から9年間で22大学に約27億3千万円の助成がおこなわれたというものだ。この制度は、軍事技術にも応用可能な基礎研究を支援するもので、民生分野での活用を前提としつつ、兵器などへの転用可能性がある研究も対象としている。科学者の戦争協力への反省から制度を問題視する日本学術会議に対して、政府が会員の任命拒否や組織改変しようとしたことは記録に新しい。
一方、備蓄米放出による倉庫会社の「死活問題」とは、倉庫会社が受け取るはずの保管料が1か月あたり計およそ4億6千万円失われる見通しで、廃業を検討する業者もあるという。これを補うためには、国民の負担も生じる可能性がある。コメが安くなってもこれでは意味がない。
一見すると「軍事研究への助成」と「備蓄米の放出による倉庫料の問題」はまったく異なる物事のようだが共通する背景として、政府の介入による「市場調整」と「国家安全保障」が挙げられる。
1.政府の資金配分による影響
軍事研究への助成は、防衛技術の発展を目的とし、大学や研究機関への資金提供を通じて技術開発を促進するものである。それに対して、備蓄米の放出は、政府が市場に介入し、米価の高騰を抑えるために供給量を調整する政策であるが、倉庫会社の収入減少という副作用を生んでいる。
2.国家安全保障の視点
軍事研究への助成は、日本の防衛力強化を目的としており、国際的な安全保障環境の変化に対応するための戦略的投資と考えられる。同じように備蓄米の放出は、食料安全保障の観点から市場の安定を図る政策であり、国民の生活基盤を守るための措置である。
3.政府の介入による市場の変動
軍事研究への助成は、大学や研究機関の研究資金の獲得に影響を与え、特定分野の技術開発を促進するものだ。一方、備蓄米の放出は、倉庫会社の収入減少を招き、事業の存続に影響を与える可能性がある。
このように、両者は異なる分野の政策でありながら、国家の安定を維持するための政府の介入という共通点を持っている。政府は安全保障と経済の両面でリスクを管理している。そして「国民の生活を守るため」という大義名分のもとに、さまざまな「介入」をおこなっていることを忘れてはならない。

写真は「共同通信」より

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