【今日のタブチ】アニメ『アンパンマン』の原作者・やなせたかし氏の言葉「勝ち負けがはっきりする社会ではだめ」に隠された思い
今朝の新聞には、2009年にインタビューに答えた、やなせたかし氏の言葉が載っていた。
やなせ氏はご存じのようにアニメ『アンパンマン』の原作者である。2013年に心不全のため94歳で死去したが、インタビューの当時は89歳だった。
なかなか蘊蓄のある言葉だった。気になった箇所を抜粋したい。
ー映画やテレビのヒーローのスーパーマンやウルトラマンは、悪人や怪獣を次々に倒して見た目に格好がいいけれど、自分自身は傷つかない。それに比べて、アンパンマンは、顔はまん丸いアンパンで、顔が水にぬれると力もなくなり、格好が悪い。(中略)自分を犠牲にしても他人に尽くせるかどうか。それが本当の正義。正義って、格好いいもんじゃない。
ー勝ち組負け組がはっきりする社会ではだめ。アンパンマンも「ばいきんまん」を徹底的にやっつけない。(中略)ばい菌と戦い、共存しながら強く成長してゆく。
やなせ氏は「格差社会はバランスが崩れた病気の状態です」とも語っている。今のネット社会では「勝ち組」「負け組」がはっきりしていて、「叩く者」「叩かれる者」が存在する。「叩く者」は「叩かれる者」を徹底的にやり込める。そうやって世論を味方につけて、ともすればインプレッションを稼ぐことで金儲けをする。確かにそんな社会はいびつで病んでいる。
ネットで叩かれている人や徹底的に負けている人の気持ちを思いやる、そういう「寛容さ」を身につけたいものだ。週末の朝にそう思わせられた。
「nippon.com」HPより
https://www.nippon.com/ja/japan-topics/g02496/