まず目に留まったのは、アートを通じた自己探求を広めるNPO法人EduArtの代表理事、望月実音子氏の取り組みだ。望月氏は、横浜創英中学・高等学校の高校1年生の選択美術で外部講師として授業を行っている。授業名は「The ART of INQUIRY──自分と社会と未来をつなぐ50の問い」。「何歳の時の自分が好き?」「あなたにとって真の成功とは?」といった正解のない問いが次々に投げかけられ、生徒たちは考える間もなく、クレヨンや絵の具を使って直感的に描いていく。あとから絵を見返し、そこに現れた感情や価値観について考える構成だ。望月氏はこの方法を「直感的描画法」と呼ぶ。 学校の記録には、生徒から「こんな美術の授業は初めて」「何も考えずに描くことで、逆に知らなかった自分に気づいた」「考えてから描くのではなく、描いてから考えるのが新鮮だった」といった声が寄せられている。現在までのところ、新聞や公式資料で確認できる実践の中心は高校段階であり、大学の正規授業として導入された事例はまだ報じられていないが、アートには正解がなく、完成した作品以上に、その過程に価値がある。「自分自身の可能性に気づく機会になる」という意味で、大学の授業に取り入れてもいいのではないかと思った。