【今日の新聞から】ジャニーズ性加害問題が与えた日本版DBS法案への影響ー芸能事務所も性犯罪歴確認の対象に含むべきか?
子どもと接する職場の従業員に性犯罪歴がないかを確認する「日本版DBS」制度を導入するため、政府が法案を提出したのは2か月前。その後、どうなっているのかなと気になっていた。「DBS」とは、英国内務省が管轄する「Disclosure and Barring Service(ディスクロージャー・アンド・バーリング・サービス)」(前歴開示および前歴者就業制限機構)の略で、個人の犯罪履歴などのデータベースを管理して、さまざまな職業に就く際に必要な証明書を発行するというものだ。「日本版DBS」は犯歴がある人の就業を制限し、子どもの性被害を防ぐのが狙いである。
これに対しては、犯罪者の更生を妨げるという意見や「職業の自由」に抵触するという見解、憲法にあるプライバシー権の問題も指摘されている。しかし、私はそれらを考えなければならないことはもちろん当たり前で、何より「犠牲者」となる子どもを一人でも減らすため、いち早い法整備が必要ではないかと考えている。そしてそれが、ひいてはまじめに働いている労働者をも守ることにもなると信じている。
そして今日の新聞では、その続報ともいえる記事があった。
加藤鮎子こども政策担当相が、子ども政策に関する衆院特別委員会で「日本版DBS」の対象として「ダンスや演劇などの技芸を教える芸能事務所も含まれる」という見解を示した。このことは大きく評価したい。これはジャニーズ事務所の性加害問題を意識したものであり、具体的な指針を出したこと、旧ジャニーズ事務所の問題にも切り込んだことは、前進的だと考えるからだ。
正直言えば、私はこれまで政府は「ジャニーズ事務所性加害」問題に真剣に向き合ってきていないと感じている。今回の「日本版DBS」法案がよい機会になれば、一石二鳥である。
「東京新聞TokyoWeb」より