【今日の新聞から】唐十郎氏と寺山修司氏の命日は、同じ5月4日
アングラ演劇の旗手として活躍した劇作家の唐十郎氏が4日亡くなった。84歳だった。
5歳年上で、同じく「アングラ演劇」ブームでしのぎを削った寺山修司氏と同じ命日というのに驚いた。二人は仲が悪くてよくケンカをしていたというが、実はケンカするほど仲が良かったという話も聞く。
だが、なんだか寺山氏が「おい!唐、早く来いよ!!」と天国から呼んだかのような、まさしく〝劇的な〟最期だなぁと感じ入った。
そんな二人の歴史的に有名な話が、天井桟敷館の裏手の金王神社の境内に紅テントを張って状況劇場が公演をやっていたときの大喧嘩だ。両者入り乱れての路上乱闘で警察に逮捕されるほどの騒ぎになった。
そんなことを思い出した。もちろんこの出来事は私が小学生のころ、昭和44年の話だ。だからリアルタイムではなく後で知った話だが、そんな唐十郎氏と寺山修司氏の命日が同じということで思い出したのだった。
ちょうど、先日、大学で寺山氏の「田園に死す」を見たばかりというタイミングもあった。久々の寺山作品は色あせず、衝撃的だった。
時代を先取りしていた二人。今頃、天国で酒を飲みながら演劇論を戦わせているのだろうか。
新潮社「TRY48/中森明夫」HPより