【今朝の新聞から&思い出すこと】デンマーク女王が「生前退位」
今日は「今朝の新聞から」をもう一件、報告したい。これは私の「思い出」にもかかわっているからだ。
在位期間52年に及び、欧州の君主で最長となっていたデンマークの女王マルグレーテ2世が83歳で昨日、退位したというものだ。長男のフレデリック皇太子(55)に王位を継承する。報道によると、デンマークで女王が自らの意思で退位するのはおよそ900年ぶりだという。
日本でも2019年に当時の天皇陛下が生前退位をされた。これは202年ぶりのことだった。現在の皇室典範には生前退位に関する規定がないため、天皇陛下の退位を一代限りで認める特例法が参院本会議で可決され、成立した。
ご存知のように、欧州には王国が多い。今回のデンマークをはじめとして、イギリス、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、スペイン、スウェーデン、ノルウェーの8つだ(リヒテンシュタインとモナコは公国であるため、ここでは省く)。
いまから35年前の1989年、テレビ東京入社して3年足らずの私はある番組のディレクターを任された。昭和天皇崩御に伴って執りこなわれた「大喪の礼」の際に放送された特番『世界の王室』であった。私は欧州へ取材に出かけ、欧州における王室の様子をドキュメンタリー映像として収めた。
デンマークの女王マルグレーテ2世の取材はかなわなかったが、女王の代りに王配・ヘンリック氏がインタビューに応えてくれた。ヘンリック氏はとても穏やかで、緊張し通しの私に気遣ってくれて「ほかに質問はないですか?」や「気軽に質問してくださいね」とお声をかけてくださったのを、今日の記事を見て思い出した。
思えば、私のドキュメンタリー作家としての人生はそのときに始まったのだ。それは初めての海外取材だったからだ。感慨深い。
ヘンリック氏へのインタビューをおこなった夏の離宮「ローゼンボー城」