【活動報告】ランチェスター戦略学会で研究報告をおこなった――『弱者の勝利学』~不利な条件を強みに換える“テレ東流”逆転発想の秘密~

ランチェスター戦略学会第17回研究大会(研究テーマ『アンチフラジャイルと競争戦略~時代の変化に乗じて強くなる組織の戦略意思決定~』)において、桜美林大学芸術文化学群ビジュアル・アーツ専修教授として、「『弱者の勝利学』~不利な条件を強みに換える“テレ東流”逆転発想の秘密~」というテーマで研究報告をおこなった。テレビメディアが配信との闘いの中でどのように生き残り戦略を立て、「デメリット」を「メリット」に変えようとしているのか。また、テレビメディアは今後、どこに向かっているのかといった未来の姿を予見し、提案をおこなうものであった。私が37年間現場を経験してきたテレビ東京は、まさに本学会のテーマでもある“アンチフラジャイルな=打たれ強い”会社である。
「ランチェスター戦略」とは、競争を分析し、自社を優位な立場に置くための経営・マーケティング戦略である。私の発表もさることながら、ほかの登壇者の方々も、素晴らしい方々で、とても刺激的で勉強になる貴重な場であった。
ランチェスター協会認定インストラクターでもあるマーケティングコンサルタントの鈴木俊介氏の話では、多くの知らないことを学んだ。「政治(Politics)」「経済(Economy)」「社会(Society)」「技術(Technology)」の4つの要素に分類して外部環境を分析する「PEST分析」。「志」「成果」「文化」の3つが価値基準の源泉であること。ランチェスター戦略において「ナンバーワン」「オンリーワン」「ファーストワン」が大切だということ。「物事に『正解』はない。大事なのは『最適解』だ」など。
株式会社武蔵境自動車教習所の代表取締役社長である髙橋明希氏の話は、教習所の概念をガラリと変えるものだった。そのさまざまな革新は驚くものが多く、コロナ禍の危機から「全国NO.1」達成をした企業戦略には、見習うべき人生の智慧が詰まっていた。
理工系学生に特化した就職活動支援サービス「TECH OFFER」の企画・運営を行う人材サービス企業・株式会社テックオーシャンの長井裕樹氏は、「私の夢は、砂漠を緑にすることだ」と語った。この言葉を聞いて、私は「アフガンのお母さん」こと督永忠子氏を思い出した。彼女も「内乱で荒れ果てた荒野を緑でいっぱいにしたい」と私に語っていた。人材サービスという人を扱う企業の代表が、世界規模、地球規模の考えを持っていることに感銘を覚えた。
株式会社南澤コンサルティング代表取締役の南澤博史氏は、カーディーラーでの26年間の営業経験をもとに、「人」を最も重要な資源と位置づけながら企業の売上向上戦略を策定している。「ストック型営業」という言葉は初めて聞いたが、新規開拓だけではなく既存の顧客との人間関係を大事にする営業手法であると知って、素晴らしい考え方だと思った。
どの方も、私の分野とは違う経営者だが、その英知を聞いていると時間が経つのが早く、脳が活発になってゆくのが体感できた。
自分とは異なるフィールドのことを学んだり、その分野の人々と交流するということがどんなに大切なことなのかを改めて実感した時間であった。このような貴重な場を与えてくださった、ランチェスター戦略学会会長で東京都立大学名誉教授の小泉徹氏には、感謝を申し上げたい。
今後も、私にしかない特性を生かして、研究や情報発信をおこなってゆきたい。

「日本経営合理化協会」HPより

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です