【自己分析】NHKスペシャル『ジャニー喜多川 “アイドル帝国”の実像』放送時の自らの「大股開き」の態度について

NHKスペシャル『ジャニー喜多川 “アイドル帝国”の実像』の放送時の私の「大股開き」の態度に関して、SNSなどでさまざまなご意見やお叱りを受けた。還暦にしてお恥ずかしい限りで、自らの不徳を恥じるとともに、改めて不快に感じた方々に対してはこの場を借りてお詫びを申し上げたい。
そして、放送から5日たった今、改めて今回の自らのおこないを自己分析したいと思う。

まず、番組内で発言をすることに関して「責任」「覚悟」をもって臨んだということには嘘はない。しかし、その決意の裏にどんな思いがあったのか、それを改めてよく考えなければならない。私のあの態度を見て「不快になった」人がいたことは事実であり、同じことを二度と繰り返さないためにも、自分のおこないを総括する必要がある。

あのときの私には、2つの思いがあった。
「自分しか話せない」という慢心「自分が話さなければならない」という自負だ。その2つの思いが、「不遜」な気持ちを芽生えさせてはいなかったか。だから、あのような〝高圧的で〟〝偉そうな〟態度になってしまったのではないか。
いまだから話せるが、あのインタビューを受けること、それが放送されることは、正直怖かった。映像の影響力を誰よりも知っているつもりだったからだ(そんな自分が今回のような失態を招くのだから、情けないことだが)。
インタビューの前には何度もトイレに行って、必要もないのに顔を洗ったり、頬を何度も両手で叩いたりした。そして、逃げ出したくなる自分を奮い立たせ、「ちゃんと話すんだ」と気持ちを鼓舞してインタビュー場所に戻った。
「椎間板ヘルニアの手術をして腰にチタンが入っているから、長い間の前かがみ気味の姿勢がつらい」……そんなことは視聴者には関係ない。「じゃあ、出るなよ」ということだ。そんなどうでもいいことを、SNSでのバッシングに対する言い訳にした自分が恥ずかしい。何より、この問題の当事者の人たちに失礼だ。

映像は残酷だ。
しかし、映像は正直でもある。

あのときに初めて視聴者が私を見たときの印象。それが、すべてなのだ。
自分の気持ちに「驕り」はなかったか、自分自身に問い続けなければならない。

【自己分析】NHKスペシャル『ジャニー喜多川 “アイドル帝国”の実像』放送時の自らの「大股開き」の態度について” に対して10件のコメントがあります。

  1. yamato より:

    番組視聴だけでなく、視聴者がネットで調べれば出演者の振り返りが聞ける可能性ある今を光栄に思います。

    私のNHK+での初見は、私のテレビ局員像に合致していました。この像がどこから芽生えたのか疑問に思っています。(もっと多様なはずですが。)

    どうかお体ご自愛ください。

    1. 田淵 俊彦 より:

      お優しいお言葉をありがとうございます。
      「テレビ局員像」をまた悪い方に持って行ってしまいましたね・・・。
      失礼いたしました。
      田淵俊彦 拝

      1. yamato より:

        考えたのですが、私は「悪い方」だと思っていません。

        NHKのディレクターさんが話されていた「貫禄があって業界人っぽい」の解釈について、「未だに業界人っぽいふてぶてしい態度をしている」というのは視点が少し違っていて、

        田淵さんを、まさにマスメディアに照らし合わせられるのではないかと思いました。
        ヘルニア(”本来あるべき”部位から脱出・突出している症状)により、大股(無意識的で無難な)に座っていた、という真実

        ヘルニア→マスメディアの現状
        大股→横槍電話など無意識的な行動

        田淵さんもヘルニアになりたくてなったはずないわけで。
        姿勢がつらくなる「腰のチタン」がテレビ局にとって何にあたるのでしょうか・・

        私にはそのように捉えました。(無理やりなこと多々ですが・・)
        今返信をしているということは何か興味が湧いたということで、 ドキュメンタリーとして1つ成功だったと思います。(私への啓蒙になりました)

        田淵さんはドキュメンタリーという事実の提供に一役買っていただいた。
        公共放送の広義なビジネスの中で、「田淵さんの心のケア」はあるのだろうか?
        「ディレクターさんのオンエア後の電話」は業務の一環なのか(業務電話だとしたら悲しい気持ちにもなりますが・・)

        テレビの当初からの課題であろう、対面では可能な”受け手の反応”による対処。
        田淵さんが面接で、”カチンと”きた時から変わっていないのだとキュンとしました。(ご本、Kindleにて拝読しました)

        以上をラヴレターとして。 不躾な文章お許しください。 敬具

        1. 田淵 俊彦 より:

          yamato様
          コメントありがとうございます。
          ディレクターの中川さんは、放送当日の朝も「放送後、何かあれば、私ができうる限りのサポートをし、田淵さんのことをお守りしますので、ご安心ください。私個人としては、この番組に、これまで報道ディレクターとして培ったすべてを詰め込んだつもりでいます。番組がNHKとしてどこまで切り込めたかは、あとは社会の審判を受けるのみだと思っています。」という優しい言葉をくれています。
          放送後の電話も「業務の一環」ではないと信じています。
          熱いエールをありがとうございます。
          これからも応援をよろしくお願いいたします。田淵俊彦 拝

  2. きつねうどん より:

    収録前にかなり緊張なさっておられたのですね。当然のことです…。
    チタンのこと、ディレクターさんにお話するような余裕は無かったのでは…。
    ディレクターさんの誤解と、映像フレーミング(と言えばいいでしょうか)のミスだなぁと個人的には思っています。
    (脚を映さずに腰から上を大きく撮る配慮もできたはず)

    慢心なんて…誰も制作サイドでまだ声を上げていないのですから!
    「真実を知って、同じことが繰り返されてはならない」と感じている視聴者は、田淵さんの言葉にこそ集中したはずです。
    ご安心を。

    証言、ありがとうございます。
    番組制作現場にいらした方の証言が、被害者の方々にとって、どんなにか心強いものになったかと思うと、本当にうれしいです。X(ツイッター)で皆さん感謝されていて…本当によかったです。

    1. 田淵 俊彦 より:

      コメントありがとうございます。
      勇気づけられるお言葉、痛み入ります。
      今後ともご支援をお願いいたします!
      田淵俊彦 拝

  3. みなまなお より:

    番組視聴中確かに一瞬座り方が気になりはしましたが、仰っていることに真実味と本気度を感じましたし、過去とは言え関係者としてしっかり問題を理解されている方がいることが判りそのことが重要でしたので、別件被害当事者であり本件被害者の方々に連帯する者としては大した問題ではなかったです。

    今後もどうか忌憚なく、そして変わらず真摯に向き合われ、存分に発言して頂きたいと思っています。

    1. 田淵 俊彦 より:

      みなまなお様
      コメントありがとうございます。
      はい、問題には真摯に向き合っていきたいと思います。
      田淵俊彦 拝

  4. CHUCK より:

    田淵さん、
    こちらのブログの投稿を、日経グループのご同僚の方のFacebookからの再拡散経由で、拝見いたしました。
    NHKの番組はリアルタイムで拝見しておりました。社内や芸能メディア界のパワーバランスを踏まえると、ギリギリに近い感じの番組構成であったのだと感じております。
    正直、迫力があったとは思えません。しかしながら、その迫力が出きらなかったこと自体が、この問題の奥深さを物語っているとも感じますし、そのなかで、関係当事者としてご発言をされた田淵さんの勇気には、一視聴者として感謝を感じております。(本来、NHK関係者が当事者としてもっと出るべきだったところ・・・)
    ※田淵さんご自身のFacebookも拝見しましたので、いずれこちらにもコメントをさせていただければ、と思っています。

    1. 田淵 俊彦 より:

      CHUCK様 コメントをありがとうございます。
      正直、なかなかしんどい露出でした。いろんな意味で・・・。
      そんな私ですが、これからも応援をよろしくお願いいたします!
      田淵俊彦 拝

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