日本映像学会映像人類学研究会第6回研究会(2024年1月28日)のお知らせ
下記の通り日本映像学会映像人類学研究会第6回研究会を、ハイブリッド(対面およびZoomでのオンライン)にて開催いたします。
オムニバス映画『Birth-つむぐいのち』の企画・総合監督であり、アニメーション作家の若見ありさ氏をお迎えして、デジタル時代に入って隆盛を見せる、アニメーション表現を用いたドキュメンタリー領域である「アニメーション・ドキュメンタリー」の手法・特色や可能性についてお話をしていただきます。
会員に限らず、多くの方の参加をお待ちしています。特に、これから映像業界を目指す学生さん、アニメーションやドキュメンタリーを専攻している学生さんなどにも積極的に参加いただけましたら幸いです。
概要:参加申請をしてくださった皆さんには、ゲストスピーカー(若見ありさ氏)が制作した上記の作品『Birth-つむぐいのち』を事前にご覧いただきます。参加申し込み後に視聴URLをお送りします。当日は、この作品にまつわる若見氏の講演、そしてその後に参加者との質疑応答、意見交換をおこないたいと思います。現役のクリエイターから直接、お話を伺い、意見交換をする場は貴重な機会です。多くの皆様の参加をお待ちしています。
日時:2024年1月28日(日)14時00分〜16時00分
形式:対面およびZoomによるオンラインの同時ハイブリッド開催
場所:桜美林大学東京ひなたやまキャンパス(東京都町田市本町田2600-4)
*オンラインでの参加を希望される方には、申し込み後にZoomの招待を送らせていただきます。
参加費:無料
どなたでも参加できます。学生さんも歓迎です。
お気軽にお申し込みください。若手制作者、若手研究者の方で興味がある方も是非ご参加ください。
参加申し込み方法:下記 Googleフォームからお申し込みください。ご質問、ご不明点がございましたら、以下のメールでお問い合わせください。参加者リスト作成などの準備のため、締め切りは2024年1月26日(金)18:00厳守とさせていただきます。
Googleフォーム:https:https://forms.gle/eNF3WqCEUP9HuRcn7
メールでお問い合わせ:visualanthropology2021@gmail.com
作品概要:『Birth-つむぐいのち』(2016年)
本作は出産をテーマにした女性監督による短編アニメーションオムニバス作品である。出産は人間の数だけ異なる体験があり、たとえ医療が進歩しても時には命を落とす可能性もある。いのちの誕生の不思議さ、つながっていくいのち、出産の現実と苦悩、喜びを幅広い世代に伝えていきたいという狙いからアニメーションという手法を採用したという。本作は、3名の異なる体験談をもつ女性に出産体験を語ってもらい、そのひとつずつの物語をアニメーション作家3名がそれぞれの体験談に合わせたアニメーションの技法により映像化し、オムニバス作品『Birth-つむぐいのち』として公開された。若見氏は企画・総合監督をつとめ、そのうちの一エピソード「水の中の妊婦」を監督している。楽器の演奏者やタイトル制作者などのスタッフに多くの女性スタッフが参加しているのも特色となっている。
ねらい:近年、脚光を浴びているアニメーション・ドキュメンタリーの領域は、ドキュメンタリーの本来の目的とされる「客観的な事実表現」よりも、記憶などの「主観的なイメージ」や記録しえなかった事柄を再構築することで映像化し、「共有する」ことを目的としていると解釈されている。プライバシーの保護のためにインタビュー映像をアニメーションに加工したものや、過去の記憶などの主観的イメージ、あるいはカメラが存在しなかった出来事の目撃談などをアニメーション化したものなど、その手法は多様性に富んでいる。著名な作品例としては『戦場でワルツを』(イスラエル、2008)、『FLEE フリー』(デンマーク、2021)などがある。
アニメーション・ドキュメンタリーの特性は、一言でいえば「カメラでは映せない現実に迫る」という点である。同様にドキュメンタリーの創造性に注目するならば、フィクションとの境界線は案外低いものであり、アニメーション・ドキュメンタリーのみならず様々な映像にドキュメンタリー的な要素を見出すことも可能であろう。従来、ドキュメンタリーとアニメーションとは相容れないとみなされてきた中で、アニメーション・ドキュメンタリーという新しい領域はどのような可能性を押しひろげているのだろうか。そのためには、まずドキュメンタリーの概念を再検討する必要がある。本研究会は、ドキュメンタリーの概念を捉え直す契機として、アニメーション・ドキュメンタリーの実作者の講演・対話を通して、多様な映像表現のあり方を展望してみたい。
ゲストスピーカー略歴:若見ありさ/Arisa WAKAMI
自身の体験から企画し制作をした出産にまつわるオムニバスドキュメンタリー・アニメーション「Birth-つむぐいのち」(2015)「Birth-おどるいのち」(2017)「Birth-めぐるいのち」(2020)がLos Angeles Documentary Film Festivalベスト監督賞ほか多数受賞。
2020年度文化庁映画賞・文化記録大賞受賞の長編ドキュメンタリー映画「プリズン・サークル」(坂上香監督)アニメーション・パートを監督。宮崎県の民話を地元の方にインタビューを行い、語り部さんと共に制作した「ガラッパどんと暮らす村」は映文連アワード2022文部科学大臣賞を受賞するなど高い評価を得ている。
情報科学芸術大学院大学HPより
司会:本研究会メンバー(田淵俊彦、中垣恒太郎)
式次第(予定):
14時00分〜 開会の挨拶、映像研究会のこれまで(第1回~第5回)の活動についての報告14時15分〜 ゲストスピーカー・若見氏による講演(対面)
15時15分〜 参加者との意見交換
16時00分頃 終了
映像人類学研究会代表:田淵俊彦(桜美林大学)