【今日のタブチのおススメ書籍】ガルシア=マルケスの『百年の孤独』の世界観~人間はなぜ「愛」を求めるのか

G・ガルシア=マルケスの『百年の孤独』を読んだ。これはブエンディア一家の7世代にわたる壮大な物語だ。
舞台は、ガルシア=マルケスの出身地、コロンビアの村を舞台にしていると言われているが、レヴィ=ストロースの『悲しき熱帯』を読んだときと同じような衝撃を受けた。おそらく、南米もしくは中米の話だが、『悲しき熱帯』のブラジル少数民族の描写にも通ずるように、ブエンディア一家の様子があえて淡々と〝観察的に〟語られてゆく。そういった文化人類学的な視点が、妙に旅情感をかきたててくれるのである。まったく出てこないのだが、なぜかマヤ文明やアステカ文明のピラミッドの姿が頭に浮かんだのは、そのある種、魔術的な表現が多いからだろうか。人々の生きざまが生々しく、とても人間的に描かれていて引き込まれた。
前半の主人公とも言えるアウレリャノ・ブエンディア大佐など勇ましい豪傑の男性が活躍するが、その一方で私は女性たちの存在感が圧倒的だと感じた。特に、ウルスラ、フェルナンダ、アラマンタ・ウルスラの3人は特筆すべきだろう。かなりの長編で登場人物が多く、なかなか難解の内容と言われる本書だが、この3人の女性のキャラがとても強烈で、勇ましい男性陣の存在がかすんでしまうほどだった。改めて、女性の力強さ、したたかさを感じさせられた。それに比べて、なんと男性の愚かなことか。闘いや争いにうつつを抜かしていたかと思うと、今度は商売に没頭する。「地位」や「富」を求め続ける男に対して、女は家を守り、家を繫栄させることを考えている。実に力強い。そういう意味では男も女も「孤独の闘い」のなかにいるのだろう。そしてその孤独を埋めるために「愛」を求めるのだと実感した。

「新潮社」公式HPより

【今日のタブチのおススメ書籍】ガルシア=マルケスの『百年の孤独』の世界観~人間はなぜ「愛」を求めるのか” に対して2件のコメントがあります。

  1. 岡  仁 より:

    族長の秋を高校生の時だったか?
    読んで以来、ガルシアマルケスは
    私にとっては数少ないよく読んでいた
    外国人の作家です。
    周期的にガルシアブームが来ているような?

    1. 田淵 俊彦 より:

      岡様
      コメントありがとうございます!
      「族長の秋」もおもしろいですよね。
      異文化をエンタメにうまく味付けした最初の作家ではないかと思います。
      田淵 拝

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