【今日の新聞から】性加害問題を「何もなかったかのよう」にする旧ジャニーズ事務所の狙い~声をあげた被害者は何のメリットがあったのか?

今朝の新聞には、日本記者クラブでジャニー喜多川氏らによる性加害の被害者3人が記者会見を子なった様子が報じられていた。この記名記事を書いたのが、望月衣塑子記者であったから、こういった社会に埋もれてしまうようなマイノリティの声をちゃんと地道に掬い上げているところが望月氏らしいなと感じた。
そして、元「忍者」のメンバーだった志賀泰伸氏は、去年の10月以降、旧ジャニーズ事務所が会見を開いていないことを指摘して「あまりにも不誠実だ」と述べた。私は、テレビ東京時代のADからDになるころ、当時「少年忍者」から「忍者」へと改名した彼らとよくロケに出かけていた。『歌え!アイドルどーむ』という番組のコーナー企画で、毎回、忍者が東都観光のバスに乗って地方に出かけ、スポーツやアウトドアに挑戦する「発進!アイドルどーむ号」の撮影でいつも一緒にいた。そのときの志賀氏の印象は、物静かでおとなしくいつも何かを考えているようなイメージだった。もちろん、相談をされていないので彼が性加害で悩んでいるとは知る由もなかったが、その様子は「悩んでいた」からだったのかもしれないと、今になってそう思う。
よく指摘されることで、今回の会見でも話が出たが、声を上げた被害者に対する誹謗中傷や嫌がらせは私たちの想像を絶するものだ。そう考えると、多少の補償があったとしてもそんなものは彼らの生活が脅かされるという代償には値しない。つまり、彼らには「たいしたメリットがなかった」と言っていいだろう。
では、なぜ彼らはなぜ声を上げたのか。それは今回の会見の内容を知ればわかる。

「未来ある子どもに同じ経験をしてほしくない」

会見で元ジャニーズJr.の中村一也氏は語った。その言葉がすべてを物語っている。
そして、実はこのジャニーズ性加害問題は、旧ジャニーズ事務所だけの問題ではない。家庭や職場、いろいろな場所で起こっている性加害すべてに対する警鐘なのだ。
私たちはそのことに気がつく必要がある。旧ジャニーズ事務所がどうのこうのという単眼的な問題ではないのだ。
勇気をもってその鐘を鳴らした彼らをバッシングするような社会。そんな社会をそこに住む一員として私は、情けなく思う。

旧ジャニーズ事務所の性加害問題を巡る記者会見で
涙ぐむ志賀泰伸氏
「共同通信」HPより

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