【今日の新聞から】自閉症の孫の首を……78歳祖母が悩んで

今日の新聞からの第三弾は少し重いテーマだ。母親代わりとなって育てていた孫を78歳の祖母が首を絞めて殺人未遂の罪の問われているというものだ。
孫は、自閉症スペクトラム障害(ASD)と診断されていた。
小学校になってもおむつが取れず排泄も自分でうまくできなかったという。その祖母にも暴力をふるうこともあり、孫が将来、人に危害を加えることがあるのでないかと心配だったという。

ご存じのように私は『発達障害と少年犯罪』という書籍を上梓している。

https://www.shinchosha.co.jp/book/610766/

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/09/post-10997.php

Newsweek日本版「テレビで反響を呼んだ取材、『発達障害と少年犯罪』」

この中にも、同じような事例がある。ASDをかかえる子どもを持つある母親は「救急車の音が聞こえるたびに、もしやうちの子が……と思っていた」と語ってくれた。今回の祖母も「不安だった。駅で通行人を突然刺したというニュースをみると、いつかエスカレートしてやっちゃうんじゃないかと」と検察尋問で述べている。

拙書のなかで記しているが、ASDの子どもの周りの環境がもっとも大切だ。当人もそうだが、それを支える家族や知人が重荷にならないように、その周りがさらに支えてあげなければならない。今回の事件は、それに気づけなかった周り、そして当事者たちが声を挙げられなかった日本のいまの社会に問題があると考える。

8050問題から起因する親族間殺人。日本の殺人事件の半数以上が親族間で起きていて、近年その割合は高まっているという。
今回の78歳の祖母の気持ちを考えると胸が痛くなる。
そして何より見逃しがちなのが、一番困っているのはASDの当事者本人だということだ。

インドのある地域では、障害のある子は「神の子」としてみなで世話を見る。
そんな社会でありたい。つくづくそう感じている。

みなさんはどう考えるだろうか?
(そんなのは甘い!などのお叱りのお言葉も含め)気軽にコメント欄に投稿していただきたい。

【今日の新聞から】自閉症の孫の首を……78歳祖母が悩んで” に対して2件のコメントがあります。

  1. 相澤直美 より:

    12月3日の記事にコメントした際に、田淵様の著書を読んだことに触れました。
    『発達障害と少年犯罪』です。
    私には30代の2人の息子がおりますが、2人とも発達障害があります。次男はAHDHでディスレクシアですが、長男は20年前に広汎性発達障害、アスペルガー症候群と診断されました。(もしご関心がありましたら、下記サイト ブログをご覧いただければ幸いです。)
    私自身もADDの特性があり、何度も生きることにくじけそうになりました。
    この記事のお祖母様のお気持ちは痛いほどわかります。
    私も本気で長男を道連れにしようと思ったことがあるからです。それでも生きてこれたのは、関西の彼らに負けたくないと思ったからです。
    四国のいなか出身で、もともとアニメファンで一時期制作側に身を置いていた私にとっては、アイドルましてやジャニーズなんて無関係だったのに、ここまでのめり込むことになったのは、関西ジュニアの中の1人に自分を重ねてしまったからでした。彼の生きづらさは、自分の生きてきた生きづらさでした。
    そして、彼を追い、彼らの仲間を追っていくうちに、一般的な集団に比べて明らかに旧ジャニーズには発達障害の特性がみられる者が多いのではと感じていました。
    田淵様に改めてADSの説明をする必要はないと存じますが、その特性からグルーミングが容易いことは想像でき、またこの問題以降、受講したリモートセミナー等で講師の方への質問でも、可能性は非常に高いとお答えいただきました。
    私はジャニー氏が履歴書でピックアップした少年の中から、オーディションで発達障害の可能性のある者を選んでいたのではと思いました。一般社会で生きづらさに苦しむ者にとって「居場所」を与え、彼らを抱え込む。
    本当に多くのタレントが「ジャニーズに入ってなかったらどうなっていたか」と言っています。
    ただ、この問題発覚後私が思っていた以上にタレントたちは頑なでした。もっと抜け出す者がいると思っていました。
    その答えが『発達障害と少年犯罪』にありました。発達障害は先天的なものであるけれど、「虐待」によって引き起こされることもあると。
    幼い彼らが児童性虐待によってこちら側に来てしまったのかもしれないのだと。
    もしこの通りだったとしたら、本当に憎んでも憎みきれません。
    そして何もしてこれなかった自分に悔やんでいます。
    お恥ずかしいことに、「当事者」ゆえにこの番組も著書も見ておりませんでした。申し訳ございません。
    田淵様がNスぺに出られなければ、この気づきもなかったかもしれません。
    一個人の考察にすぎませんが、私の経験が生かされますことを願っております。
    長文失礼いたしました。

    1. 田淵 俊彦 より:

      相澤様
      書きにくいことを書いていただいてありがとうございます。
      私の尊敬する児童精神科医の杉山登志郎先生は発達障害を「発達の凸凹」と呼んだ最初の方です。杉山先生がおっしゃるように発達の段階で個性の一つとしていろいろなことに凸凹があるだけなのだ、教育の場について強くそう感じるようになりました。相澤様もお辛いご経験がたくさんあったのだとお察しいたします。相澤様もお子様も穏やかに暮らせる社会でありますように。田淵俊彦 拝

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