【今日のタブチ】何を撮るかではなく、何を見るか 〜双葉町ロケハン報告〜

以前このブログでもお伝えした、福島県双葉町での映像ワークショップ。その下見のため、昨日今日と現地を訪れていた。現在は、帰京する特急ひたちを待つ合間に、このブログを書いている。

私は今回が初めての双葉町訪問だったが、とても実りの多い下見となった。現地では東京大学の大塚類教授と落ち合い、大学院生で同じプロジェクトに参加している中村優氏とも合流。さらに教育委員会の指導主事である星健一氏にご案内いただき、町内のさまざまな場所を見て回った。

今回のワークショップでは、桜美林大学の私のゼミ生や4年生たちがチューターとなり、参加者を含めて3つのグループに分かれて映像制作を行う予定である。しかし実際に現地を歩いてみると、限られた時間の中で撮影を進めるためには、ある程度こちらで撮影場所を設定しておいた方がよいこともわかった。ロケハンは、その意味でも大きな収穫だった。

下の写真を見てほしい。遠くに海が見える写真の手前には野原がある。しかし、そこにはかつて町があった。家が建ち、人々が住んでいた。だが、波に洗われてしまった。かつての姿を想像すると、大自然の前ではいかに人間が無力かがわかる。

だが、2022年8月30日に11年ぶりに避難解除が出てから丸3年。271人が帰還した双葉町では、復興の息吹をあちこちで感じることができる。駅に隣接して整備された86戸の駅西住宅はその象徴のひとつだ。また、現在造成工事が進められている双葉町立「双葉遊学舎」は、0歳から15歳までが通うことのできる新しいタイプの学校である。旧双葉中学校の跡地に建設される予定だが、現場ではブルドーザーが忙しく行き交い、新たな町づくりの力強さを感じた。

その一方で、時間が止まったままの場所もある。

旧双葉高校の校舎では、壁に「女子柔道 全国大会出場決定」という横断幕が掲げられていた。日付を見ると2011年。まさに震災直前の時間が、そのまま残されていることを実感した。

そして何より圧倒されたのが、旧双葉南小学校である。
今回は星氏のご厚意で特別に校内を見学させていただいた。教室を見て回ると、そこには震災当時の空気が色濃く残されていた。本棚から飛び出した本が散乱し、机や椅子もそのまま残されている。子どもたちの机の上にはランドセルが置かれたままだった
6年1組は、ちょうど被災したときに下校の準備をしていたのだろうか。
下見をする前は、学生たちに何を撮らせればよいのかを考えていた。しかし実際に双葉町を歩いてみると、その問いそのものが少し違うような気がしてきた。
大切なのは何を撮るかではなく、この町の人々が積み重ねてきた時間と向き合いながら、何を見るかなのかもしれない。
そんなことを考えながら、まもなく到着する特急ひたちを待っている。

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