【今日のタブチ】“プロデューサーの正体”が露わに――リキプロ面接で問われた「言語化」と「説得力」が不可欠な理由

株式会社リキプロジェクト」(以下、リキプロ)は、俳優・竹内力氏が1997年に設立した映像制作・芸能プロダクション会社である。現在は、俳優のマネージメントは竹内氏ひとりに絞り、主に映画の制作に軸足を移し、質の高いエンターテインメント作品を数多く世に送り出している。
近年の主な作品は、Netflixシリーズ『匿名の恋人たち』(2025年)、『しびれ』(2026年)、『本心』 (2024年)、『ぼくのお日さま』 (2024年)、『愛にイナズマ』 (2023年)、『月』 (2023年)、などがあるが、私にとっては何と言っても『死刑にいたる病』 (2022年)が忘れられない。テレビドラマもNHKの『シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~』などスケールの大きな話題作も手がけている。
http://www.rikitakeuchi.com/home/home.html

そしてこのリキプロと私は、ご縁がある。
私が前職のテレビ東京時代、ある芸能プロダクションのマネージャーをやっていた女性がいた。彼女は、映画やドラマ制作の夢を追い続け、リキプロに転職した。その彼女に私はある日、「学生が、映画やドラマの現場研修をする機会はないだろうか?」と相談をした。すると彼女は早速社長に相談をしてくれて、「短期の一過性ではなく、立ち上げ段階から関わり、長いスパンで制作過程に関わった方がいいのではないか」という提案をしてくれた。

こうして2023年度から始まったのが、わが田淵ゼミとリキプロの「長期プロデューサー養成プロジェクト」である。断っておくが、正式にこういう名前があるわけではない。私が便宜上呼んでいるだけだ。

素晴らしいのは、このプロジェクトを経て、2026年度卒のわがゼミ生がプロデューサー候補としてリキプロに入社を果たしたという実績だ。

2025年度はさまざまな事情から実現できなかったが、今年度2026年度は希望者を面接してもらい、このプロジェクトを再起動しようということになった。
そして、先週末と今週末の2週にわたって希望する学生5人を私が引率し、リキプロで永井拓郎社長直々による面接がおこなわれた。

前述したように、突飛とも言える私からの提案を快く受け入れてくれたのは、この永井社長である。ありがたいことだ。
着なれないリクルートスーツの学生たちは、緊張した面持ちで面接に臨んだ。そばで見ていた私は、結果にかかわらず、この一つひとつが貴重な経験となって彼ら彼女らを大きくするのだと確信した。これこそ「実学」学びの実践である。

面接の際に永井氏が学生に述べていた言葉が印象的だった。
映像という個人の感覚で評価されるものだからこそ、例えば編集のときに「AとBどちらがいいか」というようなことを決めなければならないとしたら、プロデューサーとして「こちらの方がいい」ということを、感覚的ではなくある種理論的に“言語化”して説得できなければならない
その話は、タレントを口説くときにも当てはまるという。「なぜあなたを迎え入れたいのか」「なぜあなたを選んだのか」をしっかりと理論的に述べて説得できなければならない。

さすが、数々の名作を世に送り出しているプロデューサーだと感じた。
そして私は、いつも本学の授業で学生に述べていることを思い出した。それは“説得する”という言葉の意味である。
説得とは文字が表すように、「相手が得をすると説くことだ」と私は捉えている。プロデューサーはさまざまな局面で相手を説得しなければならない。企画を通し、予算を獲得し、スタッフを集め、キャスティングをし、スポンサーを口説かなければならない。そんなとき、「この作品に参加するとあなたは“得”をしますよ」と説明し納得させる必要がある。それが“説得”という作業だ。

まさに、永井氏が述べているのはこういうプロデューサーとしての力量の大切さである。そうした思い信念を、面接を受けた学生たちも確かに受け取っているはずだ。

「(株)リキプロジェクトHP」より

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