【今日のタブチ】高校無償化の「バラマキ体質」……本当に「無償」と言えるのか?~なんでも「カネ」で決着をつけようとする思考の恐ろしさ

自民、公明、日本維新の会の3党が高校授業料の無償化を軸とする2025年度予算案の修正に合意した。
完全に少数与党が野党に押し切られたかたちとなったが、この議論はここではさて置き、私はこの「無償」という言葉がどうも引っかかる。もちろん、還暦を超えた私の家庭にとっても、初年度11万8,800円、2026年度45万7,000円支給は、ありがたい。しかし、石破首相は、衆議院の予算委員会でこの初年度11万8,800円だけでもおよそ1千億円の追加負担が生じる見込みだと説明している。そう聞いてしまうと、「結局は税金があがることで、逆に国民の負担は増えるのではないか」と思ってしまうからだ。また、当然高校通学に関するすべての費用が無料になるわけではないので、正しく言えば「無償」ではない。政府も石破首相も「これだけの費用が掛かる」という報告だけでなく、この施策を進めると決めたのであれば、この「1千億円の追加負担」をどこで補うのかということまでを述べてはじめて「首相としての説明」と言えるのではないか。例えば「防衛費のこの部分を削る」とか、考えるべきところはたくさんあるはずだ。
また、このことによる影響で起こり得る課題に対しても、何の策を練られていないのではないかと思ってしまう。私立高の人気が上がり、公立校の地盤沈下が起こるのではないか、教育の質の担保はなされるのか、教員不足はどう解消するのか、など棚上げのままだと日本の高校教育は崩壊する。私はこれまで以上に、高校間の「格差」が広がると見ている。
そしてそれは、私が勤めている大学での教育にも影響、波及してゆく問題だ。
そもそも、なんでも「カネ」で片をつけようと考えているように思えてならない。アメリカのトランプ氏もこの点に関してはひどい。今朝のニュースでは、富裕層向けにアメリカの永住権を500万ドル(およそ7億5,000万円)で販売するというから、あきれた。その制度の名前が「トランプ・ゴールドカード」というから開いた口がふさがらない。アメリカの永住権を完全に「自分のもの」だと勘違いしている。さらに、記者団からロシアの新興財団オリガルヒが購入できるかと聞かれて「可能だ」と述べたという。
なんでも「カネ」で決着をつけようとする思考がグローバル化している気がして、空恐ろしくなった。

「テレ東BIZ」より

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