【今日のタブチ】未成年の選挙活動を禁止した公選法に異議を唱えた高校生たち~その〝自由の女神的〟勇気に喝采を送りたい
18歳未満の選挙運動を禁止した公選法の規定は、表現の自由を保障する憲法21条に反するとして、東京都や愛知県などの高校生4人が、東京地裁に提訴した。
公選法は、選挙期間中、18歳未満の人が特定の候補者の当選を目的として投票を得るために必要な行為を禁止している。これは、もともと未成年者が選挙に利用されないようにという保護的な目的から定められたものだ。
しかし、いまは時代も変わっている。関西在住の高校2年生の竹島一心氏は、昨年の地方選挙である候補者を応援する思いをSNSに投稿しようとして、周りの大人から「法に抵触する可能性がある」と言われたという。18歳未満が電話で知り合いに投票を呼び掛けたり、SNSで候補者の投稿をシェアしたりすることも違反と恐れがある。
竹島氏は、「誰にやらされたわけでもなく、僕自身の思いで応援したかった。意思表示の自由すら侵害されるのはおかしい」と言っているが、私はまさにその通りだと思った。
同じく高校生の宮田香乃氏がプラカードを持って東京地裁に向かう写真が、新聞に掲載されていた。私はウジェーヌ・ドラクロワの「民衆を導く自由の女神」を想起した。
昔はSNSがなかった。だが、いまはこういったツールを使って自らの意思を発信することができる。そういう時代なのだから、もっと法律も柔軟に適応するべきだ。未成年の禁止規定が盛り込まれたのは、1952年。社会状況が大きく変化しているなかで、杓子定規に物事を判断する考え方はナンセンスだ。
逆に、こういったことを若い人たちに促進してゆくことこそが、「デジタル・シティズンシップ」と言えるのではないだろうか。
私が懸念するのは、こういったことが続くと、さらに若者の政治離れが加速するということだ。未成年の禁止規定に関しては、せめてSNSなどの場合は除外するなどの臨機応変な対応が必要だ。
「東京新聞 TokyoWEB」より