【今日のタブチ】値上げラッシュの裏で何が起きているのか――ナフサ高騰だけではない、その理由
ナフサや原油の高騰を理由に、値上げラッシュが続いている。
納豆、ティッシュ、包装資材――確かにこれらは石油由来の原料に直結しており、価格上昇の説明としては理解できる。実際、ナフサの急騰は石油化学製品全体に波及し、日用品の値上げを引き起こしているのは事実だ。
企業にとっても深刻な状況であり、値上げはやむを得ない。
ここまでは疑いようがない。
しかし、私はあえてこの状況に疑問を呈したい。
新聞を開くと、納豆やティッシュの値上げ記事のすぐ下に、郵便料金の値上げが並んでいた。
言うまでもなく、この二つは構造が違う。前者は原材料コスト。後者は人件費や制度、事業モデルの問題。
それでも紙面上では、すべてが「値上げの波」として一括りにされる。
ここに、私は違和感を覚える。
この状況をもう少し冷静に見てみる。
いま社会には、「どうせ全部上がる」という空気がある。
食品も日用品も、ガソリンも光熱費も上がる。理由もそれぞれ違うはずなのに、消費者の認識の中では一つの現象として処理されていく。
すると何が起きるか。
「値上げは仕方ない」という前提が、社会全体に共有される。
このとき、企業にとって値上げは極めて通しやすくなる。
海外の研究では、コストショックが起きた局面では企業が価格引き上げを同時に進めやすくなる、いわば“空気の共有”が生まれることが指摘されている。
さらに、エネルギー危機の局面では、一部企業がコスト以上に価格を引き上げ、結果として利益を維持・拡大させた可能性も報告されている。
もちろん、これは「企業が不誠実だ」という単純な話ではない。
企業の立場に立てばこうなる。
いずれ値上げは必要だった。人件費も、物流費も、じわじわと上がっている。ただ、単独で値上げすれば消費者の反発を受ける。
しかし今は違う。
社会全体が値上げを受け入れざるを得ない状況にある。ならば「今」なのではないか。
これは違法でも不正でもない。
むしろ、合理的な経営判断ですらある。
だが、消費者の立場から見たとき、それはどう映るか。
「本当にこの値上げは今でなければならなかったのか」
その問いは残る。
1970年代のオイルショックでも、同じ構造が見られた。
実際の供給不足に加えて、「危機」という認識そのものが価格上昇を加速させたと言われている。
つまり、価格を動かしているのは原料だけではない。
空気であり、心理であり、タイミングでもあるのだ。
だからこそ、私は思う。
値上げを否定するべきではない。
企業がコスト増に苦しんでいる現実も理解するべきだ。
しかし同時に、すべての値上げを「原油高のせい」として受け入れてしまっていいのか。
納豆とティッシュと郵便料金が、同じ理由で上がっているわけではない。
それでも同じ文脈で理解してしまうとき、私たちは思考を止めてしまっているのではないか。
疑う必要はない。
だが、見極める必要はある。
何が本当のコストなのか。
何がタイミングなのか。
本当に今でなければならなかったのか。
その違和感に目を向けること。
それこそが、これからの消費者に求められている姿勢ではないだろうか。
「富士ゴム化成株式会社」HPより
https://www.fujigom.co.jp/manufacturing/naphtha-surge-molding-cost-impact/


