【今日のタブチ】劇辛口!2026年10月クールドラマをぶった斬り!!――最後まで見たいドラマは、なぜこの4本なのか?
今期ドラマを見ていて感じることがある。それは、アジアとのコラボ、アジア市場への展開、アジア人気の取り込みを意識した作品がやたら目につくことだ。
もちろん、海外展開自体は悪いことではない。しかし、それが目的化した瞬間、ドラマはつまらなくなる。
私がドラマを見続ける理由は単純だ。
何か一つ。たった一つでいい。「これだけは見たい」と思わせるポイントがあるかどうかである。
脚本でもいい。演技でもいい。映像でもいい。音楽でもいい。それがなければ大型企画だろうが話題作だろうが途中で離脱する。
今回は全作品を論じるつもりはない。私なりにおすすめポイント、あるいは気になったポイントのある作品だけを取り上げてみたい。
まずは日本テレビから。
『ハイド&シーク 0秒前の彼女』・・・正直に言えば、女性主人公の演技が気になって仕方がない。シリアスなシーンになるほど違和感が増す。一方で福士蒼汰は素晴らしい。アクションの切れ味、身体能力の高さ、画面映え。このドラマを見続けている理由はほぼそれだけである。逆に言えば、福士のアクションがなかったら途中で脱落していたかもしれない。
続いて『俺たちの箱根駅伝』・・・見ていて思った。「懐かしいな」と。一昔前の日曜劇場のノリとテイストを、そのまま日本テレビに持ち込んだような作品である。昭和感満載。もはやドラマというより天然記念物を観察している気分になる。テレビ局内部の圧力描写も不自然だ。リアリティがない。TBSの成功を見た日テレが池井戸作品に手を出したような印象を受ける。もっとも、現在のTBS自身が池井戸ドラマを必要としているようにも見えない。原作者がキャストを指名したことが話題になった。しかし、逆に言えば、そんなことしか話題がないのである。それが最大のトピックという時点で厳しい。初回で桑田佳祐の歌に歌詞が被さった場面には寒気がした。感動しろと言わんばかりの演出である。さらに主演俳優も所属するアミューズへの“よいしょ感”まで透けて見える。さすがにやり過ぎだろう。
一方、TBSは今期かなり不作である。いつもクオリティが高いと感心していたのだが・・・。
『いろはの恋は時代をかける』・・・上白石萌音が完全に鼻についてしまう。これは本人の問題というより役作りや演出の問題かもしれない。しかし、結果として、主役と準主役のカップリングに魅力が感じられない。華もない。恋愛ドラマなのに恋愛を応援したくならない。これは致命的である。
『LOST10』・・・小栗旬と横浜流星の組み合わせが売りなのだろう。しかし、制作側はそれを強調したいあまり、サービスシーンをやたらと入れ込んでくる。しかも二人が話している場面が、ドラマというよりバラエティ番組のトークコーナーを見ているような感覚になる。完全に気がそがれる。配信やSNSの反応、口コミを気にし過ぎているのだろう。あざとさが見えてしまう。塚原・新井コンビも、さすがに食傷気味である。
続いてテレビ朝日。
今期トップクラスに評価しているのが『もう、パパ!』だ。このブログでも書いたが、ネット社会を風刺する視点が鋭い。特にキコの「どんな風にしたらパパが喜ぶかな」というセリフ。あれは父親に向けた言葉であると同時に、SNSで「いいね!」を欲しがる現代人の心理そのものだと思った。実に深い。吉田恵里香の脚本は見事だ。
『あにいもうと』も見事である。さすが吉田紀子。そこらの新人脚本家とは格が違う。セリフの一つ一つに魂が宿っている。配信狙いの奇抜な設定もない。無理なストーリー展開もない。だからこそ登場人物の感情に集中できる。最近のドラマでは逆に珍しい。
そしてフジテレビ。
まず『南田南弁護士は天才肌』・・・文句なし。今期ナンバーワン候補だろう。何より芦田愛菜が凄い。うますぎる。ASDの人物像を演じるにあたり、表情だけではない。歩き方まで作り込んでいる。細部の演技設計が圧巻だ。久々に「役になり切る」という言葉を使いたくなった。
そして『ポリティカル・パン』・・・石原さとみが抜群にうまい。政治ドラマは下手をすると説明台詞だらけになる。しかし野木亜紀子の脚本はよく調べられており、エンターテインメントとして成立させている。さすがの一言である。
その一方で同じフジの『kiDnap GAME』は最低だった。キャストも金も、あらゆるものを無駄遣いしている印象しかない。演者のセリフを吹き替えという選択をした時点で、作品に対する覚悟のほども見えてしまった。
以上の分析によって、今期は結論から言えば、テレビ朝日とフジテレビに軍配を上げたい。
勝因は明快である。脚本だ。吉田紀子、野木亜紀子、吉田恵里香。三人の脚本が頭一つ抜けている。
そして女優陣。石原さとみ、芦田愛菜、そして久々に復帰した榮倉奈々。彼女たちの演技が作品を支えている。
派手な仕掛けでもない。アジア展開でもない。SNS受けでもない。
セリフとストーリー構成の素晴らしさ、そしてそれを忠実かつさらに増幅させて再現する俳優の力。
結局最後は脚本と演技なのである。今期ドラマを見て改めてそう感じた。
今日のVoicyは、私の独断と偏見で2026年10月クールドラマを大分析しています!ベスト4に輝くのはどのドラマでしょうか?!
#092 元ドラマプロデューサーの私は今期ドラマをどう見たのか?――私が見続ける4本の共通点
https://voicy.jp/channel/1027821/8357391
「番組HP」より



