【今日の新聞から】「第2のカメ止め」自主映画『侍タイムスリッパ―』をヒットさせた要因は何か?

大手映画会社が関わらない自主制作の時代劇映画『侍タイムスリッパ―』が、上映館の急増で「第2のカメ止め」と話題を呼んでいる。「カメ止め」とは、2018年に公開された上田慎一郎監督の『カメラを止めるな!』のことだ。もちろん、私も見たが、なかなか斬新なカメラワークや、ドキュメンタリーに近い長回しなどの工夫で予算を押さえている点は従来の映画の概念を変えると感じだ。と同時に、実はこういった低予算作品は私が在籍していたテレビ東京の「お家芸」であったので、そんなに驚きを持って見ることもなかった。
では、『カメラを止めるな!』や『侍タイムスリッパ―』はなぜ実現できたのか。そして、それらはなぜヒットしたのか。

今回の『侍タイムスリッパ―』の記事を読んで、その答えがわかったような気がした。
それは、モノづくりへの「情熱」だ。デジタル化で誰もが映像作品を作れる時代になったからこそ、逆に大事な要素だとつくづく実感した。脚本も兼任した安田淳一監督は普段は米農家をしているという。映画への情熱、特に時代劇が好きすぎて、自主映画を作り続け、今回が3作品目だ。
他の仕事をしながら、脚本を書き、映画監督を目指す。なかなかできるものではない。軟弱な私には無理だろう。よほどの「信念」と「熱意」がないとできないだろう。

さらに素晴らしいのは、その「情熱」に乗った人々がいたということだ。まずは、東映京都撮影所のプロデューサー。時代劇は、撮影場所やスタッフの特殊性があるため、どの撮影所でもOKというわけではない。剣劇スターの阪東妻三郎が創ったこの撮影所には、時代劇を撮れるセットやスタッフが揃っている。「SHOGUN将軍」に着付けスタッフとして参加した衣装もその「熱意」に乗ってくれた一人だ。
そんなふうに、ひとつの「情熱」が多くの人を巻き込み、さらなる「情熱」を生み出してゆく。
これこそが、『侍タイムスリッパ―』のヒットの秘訣なのだ。
私も劇場でその「情熱」を感じたいと思っている。

私は大学の授業やゼミで、学生たちにいつも伝えている。
「モノづくりを目指す人にまず必要なのは、『情熱』だ。それがあれば『才能』や『スキル』は後からついてくる」

「映画.com」公式サイトより

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