【2024年4月クールドラマ・(ちょっと)辛口分析】私が選ぶ厳選4作品……そのうちでNO.1はどれか?

毎クールごとに私はドラマをチェックしている。録画だが、まず初回はなるべく全部のドラマを見る。そこから徐々に絞ってゆく。途中はだいたい、4~3作品になる。最終回まで見るのはほぼ1作品だ。
だが、今クールは逸品ぞろいのドラマが多かった。この理由にはある特徴が関係している。オリジナル脚本によるドラマが多かったということだ。これは皆さんもご存知の日テレ「セクシー田中さん」問題が関係している。原作ドラマの扱いにくさを再認識したテレビ局が、敬遠したと考えられる。

そして私が最後まで視聴した4作品は……テレビ朝日「Believe -君にかける橋-」、テレビ朝日「Destiny」、TBS「アンチヒーロー」、TBS「9ボーダー」だ。どれもオリジナル脚本である。

まず「9ボーダー」だが、金子ありさ氏の脚本がさえわたるヒューマンドラマだった。まさに「いまを切り取った」表現が随所に見られたのと、やはり金子氏は会話の構成がうまい。
「Destiny」だが、こちらも脚本がしっかりしているとドラマは良くなるという好例だ。吉田紀子氏の伏線の張り方には舌を巻いた。さすが熟練の職人の技だ。石原さとみさんの演技がうまいなぁと改めて感じた。だが、惜しいことに椎名林檎氏のテーマ曲がまったく合わない……。めっちゃいいシーンもちょっとぶち壊し感アリ。椎名林檎氏の曲は曲で悪くない、いやむしろいい曲なのだが、とにかくドラマのトーンに合わない。いかにドラマにとってテーマ曲が大切かを思い知らされる。このドラマとテーマ曲の関係や仕組みについては、また改めて書きたいと思っている。
「Believe -君にかける橋-」井上由美子氏の脚本。ラス前の回の自宅での夫婦のシーンはいわゆるドラマでの「あまり長いシーンは持たない」という禁じ手を見事に破った素晴らしいチャレンジだった。「いつも本気で怒ってくれてありがとう」という木村拓哉氏の言葉に泣いた。そして最終回の橋の上のシーン、号泣だった。この歳になると号泣はあまりない。でも不覚なことに号泣だった。うまい!そして井上脚本にやられてしまった。木村氏の「オレオレ演技」も気にならないほど素晴らしい脚本だった。ラストも第二弾の影も感じさせない潔さに好感を持った。一点、難を言えば登場人物の回収が丁寧過ぎた。これだけ豪華キャストを揃えたらそれも仕方がないかと思うが、いちいち皆が最後は「いい人」になってしまうのはどうかと思った。これに関しては局のPからの要請があったのだろう。また井上氏の几帳面な性格のせいか。まあ、些末なことだが。
そして……今期の私のベストは「アンチヒーロー」だ。とにかく長谷川博己氏が素晴らしい。じんわりしみじみ涙がこぼれるラストも情緒深く、これぞテレビドラマの真骨頂といったところだ。野村萬斎氏の歌舞伎芝居も「日曜劇場だからなぁ」と許せてしまうところがスゴい。長谷川氏の語尾を上げてしゃべる癖も見事に演じこまれているせいか、逆に「癖になる」。こちらは「Destiny」と違ってテーマ曲で得をしている好例だ。miletの曲がドラマのテーマにぴったりだった。「大嫌い~嘘じゃない~」という歌詞も秀逸で耳に残る。難を言えば、木村佳乃氏と大島優子氏の使い方だ。あまりにも大物を持ってきてしまったがためにネットではバレバレの展開だった。「飛び道具」はもう少し目立たず隠せるようでなければいけない。ラストのいかにも第二弾へつなげる手法は、好き嫌いが分かれるところだろう。映画「孤狼の血」パート1のラストの役所広司→松坂桃李を彷彿とさせられたからだ。

以上、4月クールドラマ、(ちょっと辛口)分析でした!

「TVer」HPより

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