【今日のタブチ】感動を設計する!――桜美林大学「映像プロモーション」東宝・遠藤学氏の講義が凄かった
このブログでもお知らせした明日11日㈭の俳優・奥菜恵氏を招いて行う特別講座の準備、そして本日の授業でのゲスト講師をお迎えする準備に追われ、昨日は更新ができなかった。
今日は、その授業でのゲスト講師について書いておきたい。
講義の名は「映像プロモーション」。映像は企画して制作して終わりではない。どれだけ優れた作品であっても、見られなければ存在しないのと同じだ。その意味で、プロモーション=宣伝は作品の一部だと言っていい。この「届け方」の設計こそが、この授業の核心になる。
第8回と第9回では、その現場のリアルを学生にぶつけるため、実際に第一線で映像プロモーションに携わっているプロフェッショナルを招くことにした。
そして本日の第8回は、東宝株式会社エンタテインメントユニット映画本部 映画企画部長の遠藤学氏をお迎えした。
約100分の授業のうち、80分以上を使い、「感動をエンジニアリングする!」というタイトルのもと、映画宣伝の思考プロセスをスライドで丁寧に解説していただいた。
印象的だったのは、「偶然ヒットするのではなく、設計する」という発想だ。誰に、どの順番で、どんな情報を届けるのか。公開前、公開直後、その後の展開まで含めて、観客の感情の動きを逆算しながらプロモーションを組み立てていく。その一連の流れが非常に具体的だった。
とりわけ興味深かったのが、遠藤氏が手掛けた『ドールハウス』のプロモーション事例だ。単に広告量を増やすのではなく、作品の世界観に合わせて、情報の出し方を細かく設計していく。ビジュアルの露出タイミング、話題の作り方、観客の「気になる」をどう増幅させるか。その一つひとつが積み重なって、最終的な注目度を形成していく。
プロモーションとは派手な宣伝活動ではなく、「観客の頭の中にどう入り込むか」という極めて繊細な設計作業であることが、学生にも伝わったはずだ。
授業中、学生は終始前のめりだった。私の授業ではどうしても一定数出てしまう“舟漕ぎ組”が、今日は一人もいない。やはり、日々現場で意思決定をしている人間の言葉には、抗えない強度がある。
都心から離れた町田、さらにそこからバスで来るこのキャンパスまで足を運んでいただいたことには、ただただ感謝しかない。
今回の縁を繋いでくれたのは、テレビ東京時代の同僚である稲田秀樹氏だ。彼は私とほぼ同じタイミングで退職し、映画製作という夢を実現するため東宝に転じた。その転職が、こういう形で学生たちに還元されているのは、なんとも象徴的だ。
最後の質疑応答では、次々と手が挙がった。時間切れで打ち切らざるを得なかったのが惜しいほどだった。学生にとっては間違いなく「記憶に残る授業」になったはずだ。
正直に言えば、私自身もまだ聞き足りない。また別の機会に、さらに踏み込んだ話を伺えたらと思う。
「映画.com」より


