【今日のタブチ】今週のゲスト講師もすごかった――テレビプロモーションで見えた“SNS戦略”のリアル
昨日の「映像プロモーション」の授業は、先週の(株)東宝プロデューサー・遠藤学氏に続き、「テレビのプロモーション」というテーマでゲスト講師を招いて講義を行った。
ゲスト講師は、(株)プロモーションウィザードの髙原万平氏である。髙原氏はポニーキャニオンで音楽プロデューサーや宣伝を経て、現在は“宣伝プロデューサー”としてドラマ、映画、音楽など様々なプロモーションを手掛けている。そしてまさにいま、加藤清史郎氏主演のドラマ『スピナーベイド』の宣伝プロモーションに携わっている。
今週の講義も素晴らしかった。何よりも、「映画」と「テレビ」の宣伝の違いが鮮明になった。
先週、遠藤氏が語ってくれたのは「感動を設計する」という発想だった。偶然当たるのではなく、観客の感情の動きを逆算して組み立てるという考え方である。今回の講義は、その“設計”がテレビの現場でどう変化するのかを示す内容だった。
宣伝は「企画力」「経験値」「人脈」「愛情」だという一言が強く残った。テレビの宣伝は、ペイドパブ(有料広告)よりもノンペイドパブ(無料露出)が肝になる。そうした中で、記者や媒体に取材してもらうためには「人脈」が不可欠である。さらに、その作品にどれだけほれ込んでいるかという「愛情」が、熱量として伝わるかどうかも大きな要素となる。
ここにも「設計」の思想がある。どの媒体に、どのタイミングで、誰を通じて情報を届けるのか。その裏側には、関係性と熱量を前提とした、極めて実務的な設計がある。
そして特に印象に残ったのが、SNS活用に関するレクチャーだった。宣伝の仕事は、その作品を見つけてもらい、見たいと思わせるストーリー――いわゆる「世の中に届けるためのストーリー」をどう設計できるかが勝負である。テレビの場合、映画以上にSNSをどう使いこなすかにかかっている。
特にレギュラードラマの場合には、それぞれのSNSの特性を踏まえたうえで宣伝展開を組み立てる。X向きの出演者、インスタ向きの出演者など、訴求対象に応じてSNSを使い分けるという話は非常に腑に落ちた。
私もドラマプロデューサー時代、「この出演者ならSNSでバズるのではないか」とキャスティングを考えていたことを思い出した。
先週の遠藤氏の際もそうだったが、今回も学内の他学群などの学生の聴講を受け入れた。約20名の学生が、通常はこの授業を履修していないにもかかわらず参加してくれた。
そして最後の質疑応答では、学生から活発な質問が出された。「SNSを活用していくとのことですが、うまくいかなかった、思ったほどバズらなかったという失敗例はありますか?」という問いに対し、髙原氏は「インフルエンサーですね」と答えた。
これは非常によくわかる。バズ効果を期待してインフルエンサーをキャスティングしたが、思いのほか成功しなかった経験があるからだ。世の中の人は、インフルエンサーの“素”の語りに魅力を感じているのであって、彼ら固有のチャンネルや文脈で発信される内容に価値がある。俳優として演技する彼らに同じ魅力が宿るとは限らないのである。
このあたりもまた、「誰が」「どこで」「どう語るか」という設計の問題に行き着く。
今週の特別ゲストも非常に示唆に富んでいた。この試みは今後も継続していきたい。
「スピナーベイド」公式HPより


