【今日のタブチ】歳を重ねて初めて分かること・・・未唯と大木トオル、新聞で出会った二つの人生

新聞を読んでいて、思わぬ偶然を感じることがある。
今朝の新聞では、元ピンクレディーの未唯mie氏のインタビュー記事が目を引いた。『UFO』や『サウスポー』など数々の大ヒット曲を手がけた作詞家の故阿久悠氏の詞について、「(当時は)深い意味は分からなかった」が、81年の解散後、時間が経ってから『モンスター』の歌詞を読んだとき、切ない曲だと理解し涙が止まらなくなったという。
「特殊な環境に置かれた人を総称して『モンスター』と表現していたんだと思った。もしかしたら私たち自身のことだったのかもしれない。何て深い歌を歌わせてくれたんだろうって」
そう語っていた。
記事によれば、未唯氏は後年になって『モンスター』の歌詞に込められた切なさや孤独に気づいたという。アイドルとして駆け抜けていた当時には見えなかったものが、人生経験を重ねた今だからこそ見えてきたのだろう。
確かに、歌詞を読み直してみると、「この世の中 いただけない人ばかりがうようよして 真暗闇じゃないかしら」の部分は、売れっ子の彼女たちを取り巻く環境を揶揄しているようにも思える。また、「やさし過ぎるその心が 傷つくことがあるかもね」「モンスター もうお前はやさし過ぎて モンスター ぼろぼろなのね」は、秒単位のスケジュールで働き、社会現象を起こしながらも実際は大きなプレッシャーを抱えていた当時のピンク・レディーの境遇を重ね合わせて読むこともできる。「モンスター この私の可愛いひと モンスター おやすみなさい」は、多忙を極め、精神的にも肉体的にも大きな負荷を抱えていた彼女たち自身の姿を、優しすぎてボロボロになった「気弱なモンスター」として重ね合わせて、心配している様子がうかがえる。
こんなふうに、歳を重ねてから若い頃の経験の意味を振り返れるというのは、人生冥利に尽きることなのだろう。それだけ未唯氏がさまざまな経験を重ね、人には語らない苦労や失敗も含めて歩んできたからこそ、たどり着いた境地なのかもしれない。

そして紙面を右に移すと、ブルースシンガー・大木トオル氏のインタビュー記事があった。懐かしかった。
大木氏は、1991年の「第33回グラミー賞」をニューヨーク現地から中継したテレビ番組に出演していた。そしてこの番組は、テレビ東京で放送された。私は、ディレクターの太田哲夫氏のアシスタントとしてニューヨークに行った。実はニューヨークを訪れたのは、学生時代に車でアメリカ一周をしたときを含んで二度目だった。当時の私は26歳。入社5年目の若造だ。くだらないことで、ディレクターの太田氏と大喧嘩をして、夜中の寒空のニューヨークの街へ飛び出したことを今でも覚えている。その番組の現地ナビゲーターが、大木氏だったのだ。
そんな大木氏が、1992年にセラピードッグ第一号を育てたことを皮切りに、以来、殺処分寸前の捨て犬や東日本大震災の被災犬を計300頭以上救出し、そのうち120頭以上をセラピードッグに生まれ変わらせ、一般財団法人「国際セラピードッグ協会」を創始したという。大木氏は言う。
「犬たちは心の痛みを知っているから、人の苦しみを敏感に感じ取るんです」

未唯氏も大木氏も、いい人生を歩んでいるなぁと思った。
人生というのは何が起こるかわからない。そのときに未来を思い描いてみても、その通りになるとは限らない。だからこそ人生は面白いのだ。

二人とも、若い頃には今の自分を想像していなかったかもしれない。二人の人生と言葉に触れ、改めてそんなことを実感した。

「ビクターエンタテインメント」HPより

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