【今日のタブチ】あの伝説的ドラマを生んだ男と再会――『深夜特急』演出家・小野鉄二郎氏との夜

昨晩は久しぶりに外で食事をした。と言っても、研究会の打ち合わせの場である。テレビ業界を引退してから、すっかり外食や外で飲む機会が少なくなった。身体にはいいことだと思いつつも、少し寂しい気もする。

そして昨日は懐かしい出会いがあった。その話をする前に、まず集まりの趣旨について触れておきたい。研究会というのは、専修大学の杉田このみ氏が代表を務め、同じく専修大学の中垣恒太郎氏が共同運営する「ドキュメンタリードラマ研究会」のことだ。私が代表を務める映像人類学研究会と同じく、日本映像学会に属する研究会である。私も2020年、テレビ東京時代にドラマ『ハラスメントゲーム』を題材に、「テレビ制作者から聞く『ドキュメンタリーとドラマ』のあいだ」というテーマで講師を務めたことがある。

このお二人に、静岡大学の丸山友美氏と私を加え、4人である人物に会うのが昨晩の集まりだった。
その人物とは、1996年から1998年にわたって放送された『劇的紀行 深夜特急』の演出を担当した小野鉄二郎氏である。
『劇的紀行 深夜特急』は、沢木耕太郎のベストセラー紀行小説を原作に、当時20代の大沢たかおが主人公・沢木自身を演じた伝説的なドキュメンタリードラマだ。
改めて考えると、「劇的紀行」というタイトルは見事だった。紀行番組でありながらドラマでもある。その作品の本質を、たった四文字で表現してしまっている。
杉田氏は高校生の頃からこの作品の大ファンだったそうで、次回のドキュメンタリードラマ研究会に小野氏をゲストスピーカーとして招きたいということだった。そして、私が先生方と小野氏を引き合わせる役目を任されたのである。
会った場所は新宿の老舗居酒屋「どん底」だった。戦後間もない1951年創業の名店で、多くの文化人や映画人に愛されてきた店として知られる。実は『劇的紀行 深夜特急』のロケでも使われた場所であり、小野氏にとっても思い入れの深い店だという。毎週火曜日はほぼこの店にいるそうで、そのため今回の会合も火曜日に設定された。

実は小野氏と私は付き合いが古い。いや、業界の大先輩と言った方が正確だ。『劇的紀行 深夜特急』が放送された当時、私は秘境ドキュメンタリーにどっぷりはまっていた。そして、この番組を見て「やられた!」と悔しがったものだった。
「その手があったか」と唸ったのである。ドキュメンタリーのセオリーを大胆に飛び越える発想に衝撃を受けた。
その後、あるきっかけで小野氏と知り合った。中年版『深夜特急』とも言われる、同じく沢木耕太郎氏の『一号線を北上せよ!』を番組化しようと何年もかけて動いたが、結局成就しなかった。そんなこともあって、その後も小野氏との交流は続き、業界、そして人生の先輩として、いい付き合いをさせてもらった。

このように私には、ありがたいことに局や会社を超えてドキュメンタリーやドラマの“師”と呼べる人物がたくさんいる。小野氏もその一人だ。その小野氏と昨日は5年ぶりか10年ぶりか、それくらい久しぶりに会った。

ただ、久々にお会いして改めて感じたのは、小野氏がまったく年齢を感じさせないことだった。御年は70を超えているが、発想も好奇心も現役そのもので、話を聞いているだけで刺激を受けた。

久々の再会で感じたことや、小野氏から聞いた興味深い話については、Voicyでじっくりお話ししたい。
#056 『深夜特急』やられた!私が悔しがった伝説の番組と小野鉄二郎さんとの思い出
https://voicy.jp/channel/1027821/8227162

「日本映画専門チャンネル」HPより

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