【今日の新聞から】就活の受け入れ会社に必要なのは何か?明暗を分けた「いなば食品」と「ナッジな会社」
ペットフードなどを手掛けるいなば食品の内定辞退者が相次いでいる。社宅の激しい痛みを知り、「採用時の説明と違う」と16人以上の辞退者が出た。
本学においても学生たちの就活が活発化している。私の昨年度のゼミ生たちも4年生を迎え、就活の真っただ中にあるだけに、他人事とは思えない話題だ。
やはりこの事件は「内定者に不信感を抱かせてしまった」ということが一番の原因だと考える。いまは「売り手市場」の時代だ。また「終身雇用」の考え方も薄れている。私たちの時代には少しくらい会社に不信感を抱いても我慢したが、いまはそういう意識はない。「信じられない会社にいたくない」ということだろう。
会社には「長所」もあれば「短所」もある。その両方をうまく新入社員に伝えることが会社にとって必要な時代になったということだろう。
と同時に、たまたまこういう記事もあった。内定辞退をする学生にある「特典」を与える企業が増えているという。昔は内定を断りに行くときは「すごく怒られるのだろうな」と想像し、覚悟していた。私もある会社に辞退に行ったときには、受け入れ担当者(それ多くの場合、ゼミの先輩などのリクルーターであることが多かった)に水をぶっかけられた。
だが、いまは違うようだ。
内定を断りに行ったとき、内定を辞退した学生が数年後その会社を受けなおしたいと思ったら、1時面接からではなく最終面接からスタートできる特典。それを「プライオリティ・パス」というらしい。背景には、新卒で就職しても3年以内に転職する「第二新卒」と言われる人たちが近年増えているからだ。
他に行ってもいいから、そこが嫌だったらうちにおいで。
というわけだ。これこそ、就活における「ナッジ理論」の活用だと思った。そっと背中を押して行動を促してあげるというその考え方は、いま社会のさまざまな局面で生かせる考え方のようだ。
「Yahoo!ニュース」より