【今日のタブチ】なぜ桜美林大学の学生を編集所へ連れて行くのか?―― 教室では学べない“現場の空気”がそこにある

今日は本学・桜美林大学の学生を連れて、編集所の現場研修に行ってきた。毎年、テレビ東京系列のテクノマックスビデオセンターさんのご厚意で実施しているものだ。
本当は先週の7日㈪に実施する予定で、そのときはゼミ生全員が参加するはずだったのだが、大雨警報が出てしまい、今日にリスケとなった。そのため参加できなくなってしまった学生もいて残念だったが、今回もとても有意義な試みとなった。

まず最初は、編集室で実際に作業をしているところにお邪魔して見学した(上の写真)。たまたま私がテレ東時代に番宣番組などでお世話になった佐々木Dの番組だったので、快く学生たちを受け入れてくれた。ありがたいことだ。
それからMAルームに移動し、ミキサーさんが作業している様子を見学しながら、テクノマックスの大前氏からレクチャーを受ける(下の写真)。こうした形で、日々現場の第一線で番組制作をしている方々から直接話を聞く機会はなかなかない。学生たちは緊張しながらも、メモを取りながら熱心に耳を傾けていた。
大学では理論や知識を学ぶことも大切だ。しかし、それだけでは伝わらないこともある。編集室の空気感、スタッフ同士のやり取り、締切に向かって作業を進める緊張感、そして現場独特の責任感。そうしたものは実際にその場に身を置いて初めて感じることができる。だから私はできる限り学生たちを現場へ連れて行きたいと思っている。

私がこうした現場研修の際に学生たちへ伝えているアドバイスは、大きく3つある。
一つ目は、とにかく大きな声で挨拶やお礼を言うこと。現場は「好かれてなんぼの世界」だ。気持ちのいいスタッフは皆から好かれる。私は学生たちによく「能力のある人はたくさんいる。しかし、一緒に仕事をしたいと思われる人は意外に少ない」と話している。映像制作は一人ではできない。だからこそ、挨拶や感謝の言葉といった当たり前のことが、実はとても大切なのである。
二つ目は、必ずメモを取ること。人間というのは、「そんなことは覚えていられる」と思っていても忘れてしまうものだ。現場では小さな聞き漏らしや勘違いが大きなミスにつながることもある。だからこそ記録する習慣を身につけてほしいと思っている。
三つ目は、積極的に質問をすること。物事に疑問を感じない人は想像力も育まれない。また、社会に出れば、分からないことをそのままにしておく方がはるかに問題になる。質問をするということは、知識を得るためだけではなく、自分から相手とのコミュニケーションをつくることでもある。そう伝えている。

後半は会議室に移動し、実際に日々編集をしている編集マンさんやMAマンさん(「マン」は人という意味で、男性という意味ではない。念のため)からレクチャーを受ける。2時間の研修予定だったが、話が盛り上がり、結局3時間以上に及んだ。それだけ学生たちの関心も高く、また現場の皆さんも熱心に話してくださったということだろう。

何より私にとって嬉しかったのは、毎年この研修をアレンジしてくれるテクノの鮎貝氏が、今年も快く受け入れてくれたことだ。そして毎年、この研修を担当してくれるのが、私が現役時代にいつも編集やMAをお願いしていた仲間たちだということでもある。編集は米沼氏、MAは前述の大前氏。二人には仕事の現場で随分と我儘を言ったので、いまとなっては申し訳なく思っている。
懇談の中で大前氏は、「田淵さんに指名をもらえるのが嬉しかった」と話してくれた。もちろんリップサービスもあるだろう。しかし、かつて一緒に番組を作った仲間たちが、いまは私の教育活動を支えてくれている。そのことが何とも感慨深く、本当にありがたい。
映像業界というと、どうしてもディレクターやプロデューサーに注目が集まりがちだ。しかし実際には、編集やMAをはじめとする多くの専門スタッフによって番組は支えられている。今回の研修を通じて、学生たちにはそうした「縁の下の力持ち」の存在と、その仕事の重みについても感じてもらえたのではないだろうか。
学生たちには編集やMAの技術だけでなく、現場で働く人たちの姿勢や仕事への誇りも感じ取ってもらえたのであれば嬉しい。

米沼氏や大前氏との仕事の思い出は、この後Voicyで語りたいと思っている。

以下がそのVoicyです。公開しました!
#047 私の現場を支えてくれた名編集マンと名MAマンが、私の学生の研修を受け入れてくれる理由
https://voicy.jp/channel/1027821/8202159

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