【今日のタブチ】アイスに石油!?ナフサ高騰で露呈した「食料と石油」の関係――なぜメディアはこの裏側を報道しないのか

先日、ナフサ高騰による値上げの構造についてのニュースや、ポテトチップスのパッケージが白黒になるといった話題を検証する記事を、このブログでも取り上げた。どれも、石油価格の上昇が私たちの日常に大きな影響を与えていることを実感させる内容だった。しかし、「論点がずれている」「本当に大事なことを見逃している」という感覚が、私のなかで日に日に強くなっていった。

石油不足によってナフサが不足し、プラスチック原料が減り、食品のパッケージや容器が足りなくなる――だから商品価格が上がる。この説明は間違いではない。ただ、これだけで本当に説明が尽くされているのかというと、どうにも腑に落ちない。むしろ、この説明が強調されればされるほど、「それだけではないだろう」という違和感が大きくなっていく。

そして、今回あらためて整理してみて分かってきたのは、問題の本質が「包装不足」という表層の話ではないということだ。
ナフサとは何かを考え直すと、その違和感は一気に輪郭を持つ。ナフサは石油を精製して得られる軽質成分であり、これを高温で分解することでエチレンやプロピレンといった基礎化学物質が生まれる。そこからプラスチック、合成繊維、洗剤、ゴムなど、現代社会のあらゆる素材が作られていく。
つまり、ナフサは単なる「容器の材料」ではない。むしろ、現代生活を支える化学工業の出発点そのものだ。この前提に立てば、影響がパッケージに限られるはずがないことは明らかだ。
そして、ここで避けて通れないのが、もう一つの事実だ。

食品そのものの中にも、石油由来の化学物質が入り込んでいるということだ。

たとえば「アイスに石油?」と驚くかもしれないが、アイスクリームの香料や着色料の一部にも、石油由来の化学物質が使われているケースは珍しくない。
この話をすると、必ず誤解が生じる。「石油を食べているのか」という極端な受け止め方だ。しかし、実際にはそうではない。食品に使われるのは石油そのものではなく、精製・分解され、さらに化学的に合成された別の物質である。
だが、どれだけ加工されようと、起点が石油であるという構造は変わらない。
たとえば、最も分かりやすい例が合成着色料だ。「赤色○号」「黄色○号」といった表示で知られるこれらの着色料は、石油由来の化学物質をもとに合成されているものが多い。 そしてそれが使われるのは特別な食品ではない。ゼリー清涼飲料菓子類漬物など、日常の中にごく普通に存在している。香料保存料甘味料酸化防止剤も同様に、この化学工業の流れの中にある。
こうして見ていくと、食品は単なる農産物ではなくなる。
農作物に加え、化学的に合成された添加物が組み合わされ、最終的にはプラスチック容器で包まれる。そういう構造の上に、現在の“食料品”は成り立っている。

ここで問題になるのは、その構造を私たちがどこまで認識しているかだ。

例えば、どれだけの食品にこうした石油由来の成分が関わっているのか。これは正確な割合を一律で示すことが難しい分野だが、着色料、香料、保存料、甘味料といった用途を考えれば、少なくとも「加工食品の多く」に関わっていることは間違いない。
つまり私たちは、農産物を食べていると同時に、石油を起点とした化学産業の産物も日常的に口にしているということになる。これは前提として共有されるべき事実だ。
ここで重要なのは、「だから危険だ」と短絡することではない。これらは法的に規制され、一定の安全基準の中で使用されている。しかし、だからといって、その存在自体を意識しなくていいという話にはならない。
自分が口にしているものの中に、どのような経路をたどってきた物質が含まれているのか。それを知らないまま「食品」を選ぶのと、知った上で選ぶのとでは、意味がまったく違う。

ところが、この前提については、驚くほど語られないまま放置されている。

ナフサ不足がパッケージに影響する、という話は繰り返し報じられる。しかし、そのナフサが、食品そのものの中にも入り込んでいる可能性があるという視点は、ほとんど提示されない。
なぜなのか。
複雑だから、という理由もあるだろう。説明しにくいから、というのもあるだろう。しかし、それだけで片付けていい話なのかという疑問は、私の頭の中から離れない。
少なくとも、消費者が選択をするために必要な情報として、「私たちの食は、どの程度まで石油由来の原料に依存しているのか」という問いに向き合う機会は、もっとあっていいはずだ。
だが、特にメディアはこういった“不都合な前提”には、積極的に踏み込もうとしない。それは、“意図的”なのか、そうではないのか。
もしかしたら、スポンサーへの忖度が働いているのか。そんな疑念すら湧いてくる。

それがほとんど提示されない現状に対して、不信感を抱くのはむしろ自然なことではないだろうか。

「Gigagine」HPより

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