【今日のタブチ】検事と被疑者の“あり得ない関係”――ヤメ検弁護士が漏らした「30年で2件目」の意味

「あり得ない!」
報道を見た瞬間、私はそう思った。
東京地検特捜部の検事が、自ら取り調べた捜査対象者の女性と性的関係を持っていたとされる問題である。
東京地検特捜部の検事といえば、検察官の中でも選び抜かれた存在だ。いわばエリート中のエリートと言ってよい。政治家や大企業の経営者、大規模な経済事件などを担当し、その高い能力と厳格な倫理観が求められる。

だからこそ、今回の報道に私は強い衝撃を受けた。
もちろん検察の不祥事はこれまでもあった。しかし、今回の件は何かが違うように感じた。検事という立場を考えれば、捜査対象者との間に特別な関係が生じること自体が極めて深刻な問題だからだ。
ただ正直に言えば、捜査機関と捜査対象者との不適切な関係という話自体は、これまで全く聞いたことがないわけではない。刑事の世界では、捜査協力者や情報提供者、あるいは捜査対象者との距離が近くなり過ぎて問題になる話は時折耳にする。
もちろん、それが許されるという意味ではない。しかし、今回の件には、それとは違うものを感じた。
検事は捜査の最終段階で起訴・不起訴を判断し、刑事司法の重要なゲートキーパーを担う存在だからである。その検事が、自ら取り調べた人物と特別な関係を持っていたとすれば、司法の公正性そのものに対する疑念につながる。
そこで私は、知り合いのヤメ検の弁護士に聞いてみた。

「こんなことは、検事の世界では日常茶飯事に行われているのですか?」

すると彼は即座に否定した。
「自分の知っている限り、2件目です。約30年で」
私はその言葉に驚いた。

世間から見れば、検察の世界は閉ざされていて実態が見えにくい。だから同じようなことが過去にも相当数あったのではないかと想像してしまう。しかし、その元検事によれば、少なくとも彼の知る30年近い経験の中で今回はわずか2件目だという。
つまり今回の事案は、決して「よくある不祥事」ではない。むしろ検察関係者が聞いても驚くレベルの異例な出来事だということになる。
だが、私がさらに気になったのはその後の一言だった。彼はこう付け加えた。

「この件、もっといろいろ話が出てくると思います」

何とも意味深な言葉だった。
検察という組織を知り尽くした人物だからこそ感じる何かがあるのだろうか。私はそう思った。
すると翌日の報道で、その言葉を裏付けるような事実が次々と明らかになった。
当初は検事と、自ら取り調べた女性との性的関係が問題視されていたが、その後、検事が女性から時計やワイヤレスイヤホンなどの金品を受け取っていた疑いまで浮上したのである。
しかも報道によれば、それらは検事側が要求していた可能性もあるという。
事実であれば、問題は単なる不適切な男女関係では済まない。捜査する側と捜査される側という絶対的不均衡の関係を背景にした、極めて深刻な事案となる。

私は、あのヤメ検弁護士の言葉を思い出した。
なぜ彼は追加の事実が出てくることを予想していたのか。
もちろん、現時点で分かっている事実だけで断定することはできない。しかし、こうしたケースでは一つの問題行動だけが単独で存在するのではなく、人間関係の深まりとともに複数の問題が積み重なっている可能性があることを示唆していたのかもしれない。
今回の件で重要なのは、単なる色恋沙汰として片付けてはいけないということだ。
検事は、起訴するかしないかを決める立場にある。その権限は極めて大きい。だからこそ、検事には一般の公務員以上に厳格な中立性と公正性が求められる。
もし捜査対象者との間に特別な関係が生じれば、その瞬間に捜査や処分に対する社会の信頼は大きく揺らぐ。実際に不正な便宜が図られたかどうかだけではない。
「本当に公平だったのか」という疑念が生じること自体が問題なのである。

私が今回の事件で最も印象に残ったのは、「30年で2件目」という言葉だった。
その数字が正確に統計を示すものではないとしても、少なくとも検察の内部を知る人物が即座にそう答えたことには重みがある。つまり、この問題は単なる不祥事の一つではなく、検察組織の信頼を揺るがしかねないほど異例の出来事として受け止められているということだ。

そして、あのヤメ検弁護士の予感どおり、まだ全容は見えていないのかもしれない。だからこそこの問題は、一人の検事のスキャンダルとして消費されるべきではない。
私たちは、なぜそのような関係が生じたのか、なぜ周囲は止められなかったのか、そして検察組織には十分なチェック機能が働いていたのかを見続ける必要がある。

私が最初に感じた「あり得ない!」という感覚は、おそらく間違っていなかったのだろう。
そして「30年で2件目」と語ったヤメ検弁護士の言葉の重みも、日を追うごとに増しているように感じる。
司法への信頼は、一度失われれば簡単には戻らないのだから。

「テレ朝NEWS」より

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